♪　I saw Mommy kissing Santa Clause・・・♪
アメリカの、リッチで暖かいファミリーの曲。毎年クリスマスにこの曲を聞くと、とて
も幸せな気分になったものです。去年までは・・・。

　というのは、去年のクリスマスに、ちょっとしたハプニングがあったのです。中３と幼
稚園の年の離れた子供を抱える私たち。クリスマスに、何とか下の子を喜ばせようと、主
人と相談してイブの夜遅くに主人がサンタに変装して、下の子にプレゼントを届けようと
いうことになりました。

　実は、私たちの家の近所は、クリスマスの前になると、家々をすごくすてきなイルミネ
ーションで飾るので有名なのです。そんな住宅地にある家で、ツリーを飾り、クリスマス
ソングをかけて「サンタさん」を子供たちと待つことにしました。

　主人には夜10時に、サンタの格好で外から入ってきて、と頼んでおきました。子供
たちには「今日はサンタさんが来るかもよ。プレゼント持ってね！」と言っておいたので、
特に下の子は興奮してなかなか寝ません。そして、9時40分くらいだったでしょうか。ち
ょっと早かったので、あれっと思いましたが、大きな白い包みを持った「サンタさん」が
玄関のチャイムを鳴らして入ってきました。下の子は大喜び。「サンタさん」にはリビング
に入ってもらいました。「サンタさん」は、何もしゃべらずに、さっそく中からプレゼント
を取り出し、子供に渡してくれました。私は、クリスマス気分が最高に盛り上がる中、な
んだか、その光景がすごく幸せに思えて、思わずあの、I saw Mommy kissing・・・の歌
を口ずさんでしまい、子供たちの前でちょっと恥ずかしかったけど、本当に「サンタさん」
に寄り添ってキスをしてしまいました。 すると、「サンタさん」も私を受け止めてくれて、
長ーいキスを返してきました。そして、キスだけではなくて、「サンタさん」は力一杯私を
抱擁してきました。なんか、すごく力が入ってるなあと思いながらも、私は本当にハッピ
ーで、「夫もなかなかやるじゃん」、と思いながら、そのまま「サンタさん」に身をゆだね
てうっとりとキスを受けていました。

　その時、玄関のドアが開き、入ってきたのは・・・、「サンタさん」とキスをしたまま、
彼の肩越しに目に入ってきたのは・・・主人だったのです。
「えっ！うそっ！」と思って思わず「サンタさん」から離れましたが、あとの祭り。驚い
たような顔をする夫を横で見ながら、「サンタさん」の方を見ると、「サンタさん」はにや
にや笑ってます。あとは夫との間の気まずい沈黙。

「サンタさん」はなんと、開き直って、夫の前でしゃべります。自分の正体は、生協で
いつもこの家に食料品を届けるお兄さんで、「奥さんのことが前から好きだった。一度でい
いから奥さんにキスをして抱きしめたかった。今日は夢が叶ってとても嬉しかった。奥さ
んのキスはとても甘かった。舌も吸わせてもらいました。奥さんの胸も、僕の胸に当たっ
て、とても気持ちよかった。ではさよなら。旦那さん、ごちそうさま。」夫も私もあっけに
とられた瞬間でした。

　もちろん、生協のお兄さんはそれ以来来なくなったのですが、怖いことに、後でわかっ
たのですが、これを仕組んだのが、上の中３の息子だったのです。私と主人の話を聞いて
いた息子は、生協のお兄さんが前から私のことが好きなんだと勘づいていて、面白いから
やった、というんです！これにはあきれました。

　主人はある意味で、寛大？で、時々「どうだった、あのお兄ちゃんのキスは？」
と冷やかします。今となっては、なんとも恥ずかしい思い出です。