新入社員のS美が俺の課に配属されてきた。上品な顔立ちで、立ち居振る舞
いにも鼻にかけたようなところが全くない。仕事の飲み込みも早く、部下と
しては非の打ち所がない娘だ。偶然を装ってヒップにタッチしたり、混んだ
エレベーターで一緒になったらワザと身体をくっつけたりしても嫌な顔一つ
しないので、ちょっとは脈があるかな?と思っていた。
課の飲み会でも、軽くチョッカイを出したりして、いたずらもだんだんエス
カレートしてきたが、S美はそのたびにうまくかわしてしまっていた。その
うちにだんだん俺のほうがのぼせてきてしまった。俺のほかにもS美を狙っ
ている男の噂は多かった。
そんなこんなで、1年近く経過したある日、社内に衝撃的なニュースが走っ
た。S美が結婚する、と。俺は直接の上司なのですぐにその全貌が把握でき
た。なんとS美の結婚する相手は、俺の上司のK部長だった。K部長は、俺
と同い年だが有名国立大学のT大学卒でライバル企業からヘッド・ハンティ
ングでこの会社に引き抜かれてきた人物だった。
その後、S美との関係はちょっと微妙な関係になってしまった。S美は職場
では部下なのだが、プライベートになると上司の妻なのだ。セクハラ的な行
為は厳禁なのはいうまでもないが、過去の行為を何時持ち出されるかと、毎
日ヒヤヒヤしながらすごしている。
S美はいつも笑顔で「課長」と呼んでくれるのだけど・・・・・。