犯されたといえるかわからないけど。
北海道の大学に入学して始めた一人暮らし。
初めての冬、雪の多さに驚きながら数日は誰かがやるだろうと雪かきはしなかった。
が、午後が休講になった日、たまりかねて通路からアパート回りを軽く雪かきしていると、女性に声をかけられた。
それが大家の娘、恵子さんだった。
父親の代わりに様子を見に来たという彼女のそばには四歳ほどの女の子が雪で遊んでいる。
礼を言われ後を任せて部屋に入るが、白い肌に黒いセミロングの学生より大人びた人妻という存在が気になりだした。
春までに何度か雪かきをし、時々はち合わせると一緒に作業するうち、すっかり友人のようになっていた。
アパートの住人はみな夏休みで帰省したようだが、僕は帰省せず部活に励んでいた。
ある日午前中に練習を終えて帰宅すると恵子さんが草刈りをしていた。
汗ばんだTシャツに横に結んだポニーテールにボンヤリ見とれていると気付いた彼女は笑顔をみせた。
「今帰り?お疲れ様」
「あ、はい。草刈り暑くないですか?手伝う?」
動揺すると丁寧なのか軽口なのかごちゃごちゃになる。
「今日も暑いね。でももう終わるから大丈夫よ、ありがとう」
「そう、じゃあ…お疲れ様です」
あの時は正直助かったという心境だった。
薄着の恵子さんを初めて見たうえに立ち上がる直前、Tシャツの首もとから豊かな乳房が目に入り、カバンで股間を隠さざるを得なかったからだ。
部屋でシャワーを浴びながら間近で見た谷間を思い出しながらもなぜか我慢し冷水で鎮めた。
チャイムが鳴り出てみると恵子さんがアイスを持って立っている。
「はい、差し入れだよ。ちゃんとご飯食べてる?」
「うん。あ、ハイ、料理も好きだから」
「彼女の手料理じゃないのぉ~?」
「いないっすよ、自炊です!」
「ムキになって、冗談よ。ね、一緒に食べよ?」
押し切られるように彼女のペースに巻き込まれ部屋に招き入れる。
「きれいに使ってくれてるね。やっぱり思ったとおりの子だわ」
その瞬間気付いて慌ててシャツを羽織った。
「あら、裸でいいのに(笑)さすが運動部、素敵よ」
そんな言葉に一喜一憂しながらアイスを食べるうち、彼女が離婚したバツイチだと知らされた。
「気にしないで。今はスッキリしてるから」
そう笑った彼女が驚く台詞を口にした。
「ね、シャワー借りていい?汗が気持ち悪いの」
「えっ?あ、ハイ、あ、タオル…」
慌てて彼女を見送った。