今でこそ、セクハラを中心とするあらゆるハラスメントは、時代が変わってきた事もあり絶滅していると思うけど、俺が働いてた会社は多分、最後の最後まで、ある事件が起きるまで、セクハラする事を辞めなかった会社だったんだ。
俺がいってた会社は介護の仕事だった。大手ではなく、小さなボロボロの介護施設だった。当時はホームヘルパー2級という1週間くらいの講習と数万円あればとれる資格があって(今でもあるけど名前と取得までのシステムは変わっている)その資格さえあれば、どの介護施設でも働くことが可能という時代があったんだ。(細かく言えば、ホームヘルパー2級とか資格がなくても、誰でもokだったんだけどね)
俺は社会福祉士である親から「これからは介護の時代だ。」って言われ続けて、親が金を出すからという事でそのホームヘルパー2級をとったんだわ。そしてとくにこれといってやりたい仕事もなかった俺は、仕事をしないと親もうるさいし、とりあえず応募すればだれでも受かる。と言われてた介護業界に足を踏み入れる事なったんだ。
まぁ今でいう悪徳介護業者っていうとこだったんだけどね。
介護施設っていうのは今でこそ、大型化し設備もキレイになり、至れり尽くせりの環境が整っているが、それは最近の話であって、俺が介護業界に入ったころは、ボロボロの住宅を改造しただけのやつとか、後ろでヤクザが関わってるという噂があるところとか、もうとにかく、ピンからキリまでむちゃくちゃに乱立していたんだ。(その時代の名残は今でもある)
俺はその中で、運悪く「悪徳介護業者」に当たってしまったんだけど、その会社の社長が、ヤクザではないが、それに近い感じの経営者で、ワンマンで、何かと現場に口出ししてくる社長だったんだよ。
その社長がリクルートしてくる介護職員っていうのは、高い給料もらっている組の、一応ちゃんとした資格持ちの社員が数名、ここはいいとして、、中間管理職っていうのがなく、後は一気に俺を含んで全部末端なんだよね。
その末端っていうのが、どんな奴がいたかというと
家出してから2年以上、家に帰ってないヤンキー娘(19)
ビザがあるのかどうか疑わしいフィリピン人女(30)
若いころは水商売していたそうだが、今は朽ち果てかけたオバチャン(50)
夜は清掃業にいっているという訳アリシングルマザー(33)
福祉だから給料は手渡しでくれというオッサン(44)
学生時代、いじめられて人間不信になったと称する女(26)
あと掃除しかできないダウン症の青年。(24)
ま・・・なんというか、、本当に訳アリな人達がそろっているんだよ。というか、まともな人なら、こんな場所じゃなくてもちゃんとした場所で働けるし、こういう場所だからこそ、こういう人たちに需要があったというのかもしれないが・・・。
もちろん仕事自体は、キレイな仕事は社員がやって、後は俺たちに指示するだけ。末端の俺たちはいつもヨゴレ仕事。この構図はどのブラック企業にも通じるものがあるのではないだろうか。
でも俺は、初めての介護業界というのもあって、この会社に対し、(ま、こんなもんか。)とくらいにしか思っていなかった。事実、俺だってどこでもいいから、ここでいいや。みたいな感じで働きにきた訳だし。俺も末端である事に変わりなかった。
唯一の救いは、一応、ちゃんと許可をとってやっている介護施設というのはあって、利用者さんに対する対応はそこまで悪いものではなかった。ただ使っている設備(電化製品等含む)が古いというだけあって、利用者さんに対する暴力なんてもってのほか、飢えを感じさせる、暑さ、寒さを感じさせる、その他精神的な不安を与えるっていう事はなかった。
それは人間的には腐っているが、一応、ちゃんとしたプロが「介護の事だけは」しっかり目を配らせていたからの他ならない。
では、なぜその会社がブラックでセクハラなのかと言えば、介護の仕事以外の部分で従業員に対する仕打ちが、あまりに残酷だったんだ。
ここで登場人物を紹介したい。(当時、つけてたあだ名で呼ぶことにする)
ヒトラー:経営者、社長
ヘス:副社長
ヒムラー:現場責任者 社会福祉士
アイヒマン:現場副責任者 介護福祉士
ゲーリング:現場主任
今から話すエピソードは、基本的にヤンキー娘、人間不信女、フィリピン人、シングルマザーの話になると思う。だれも朽ち果てたオバチャンのエピソードなんて聞きたくないし、そもそもオバチャンはパワハラはされてもセクハラはされていないので話にならないと思うからだ。
エピソード1
<水をぶっかけられた人間不信になったという女>
ある利用者を入浴介助するために、不信子が手伝っていた時の話。不信子はいつもオドオドしながら仕事をするので、見ていて危なっかしいというのがある。その時も利用者さんから風呂の水をかけられないように(怠慢に見える)やり方で入浴介助をしていた時、背後でじっと仕事風景を見ていたヘスに、「お前、何やってんだ。」とお叱りを受けたとの事。すると不信子は「水かけられそうだから」と口答えしたらしい。するとヘスは何を思ったのか、いきなりシャワーのでるシャワーヘッドをつかんで、「これならもう水をかけられる心配はいらないだろう!」と不信子の作業着でもあるジャージに、背中からピャーーと水をかけたそうだ。なんとか入浴介助自体は終わったが、それからすぐに俺たちがいるフロアに背中、尻、足とずぶぬれ状態で現れたのである。それを見た女性従業員は、「きっと、、わざとよ。水かけて下着透けさせてみようと思ったんじゃない?」と言っていた。俺が初めて見た、彼らのハラスメントだった。
エピソード2
<突然の持ち物検査で晒されてしまった生理用品や下着類>
俺たち労働者は、いちおうロッカールームというのをあてがわれている。そこでも事件が起きた。なんと、ヒムラーのロッカーから、最新式のスマートフォンが盗まれた。という事件が起きたんだ。
というより、俺たちが朝、普通に仕事にくると、事務所のテーブルに俺を含む従業員全員のロッカーの持ち物が並べられてるんだわ。(なにこれ?)と一瞬思った。なぜ俺がロッカーに入れていた私物がテーブルに並んでいるんだ?しかも他の従業員の私物も?それは、俺たちのロッカーの中に盗まれたスマホが入っていないかというのをガサ入れするために、すべての持ち物を出したという事だった。
無論、女性社員の着替えのブラジャーもパンツも。もちろん盗まれた携帯は見つからなかった。噂によれば自宅のベッドの下から発見されたというらしい。
エピソード3
<トイレ中にいきなり中に乱入されたヤンキー娘>
ヤンキー娘が仕事の合間に用を足してた。するといきなりトイレの入り口が騒がしくなったかと思うと、認知症のおばあちゃんをかかえて、いきなりアイヒマンが入ってきたとの事だった。もちろんアイヒマンは男。「もれる!!!」とおばあちゃんは言っていた。アイヒマンは、「そこどけ!!!!」と小便中のヤンキー娘の襟首をつかんで便器からどかし、おばあちゃんにトイレをさせたのとの事。「ちょ!!!おい!!!」とヤンキー娘は言ったらしいが後で「あのとき俺にオイっていったよな?」と叱られたらしい。(介護施設のトイレは鍵というものが基本的にない。利用中・使用可という裏表の札をドアにかけるだけ)
エピソード4
<利用者を車いすへの移動、ベッドへの移動をする際、尻をさわってくるヒトラー>
これもヤンキー娘(というか、ヤンキー娘のエピソードが多い)の体験した話。足がマヒしている利用者さんを車いすに乗せる時、体格の大きい人だったのでてこずっていたところ、それを見かけたヒトラーが現れ、「大きい人はな、こうするんだよ。こうしてみ?」と柄に似合わず手取り足取り指導してきたかと思いきや、利用者を抱える動作の中で、尻をナデッ・・・としてきたらしい。基本、このおさわり系のセクハラはヤンキー娘は常習的に受けており、尻だけでなく、胸からなにから、言い出したらキリがないと本人は言っていた。
エピソード5
<ヒムラーに言いくるめられたダウン症の青年>
ヤンキー娘はもともと、ダウン症の青年に厳しく当たる傾向があった。あれが出来てない、コレがまだできてないと。ダウン症の青年はいつも「〇〇言われた」とヒムラーに密告する癖のある子だった。ヒムラーは、そんな青年に、「今度なにか言われたら、ズボン脱がしてやれ。俺が許可する」と聞いたとの事。そしてその日はやってきた。毎度の光景だが、ヤンキー娘がダウン症の青年に、チクチクと指摘してた時、ダウン症の青年は「うわあああああ!!!!!!」と突然、奇声を上げると、背後からヤンキー娘のズボン(パンツもろとも)脱がし、背後にいた俺からはヤンキー娘の小ぶりな生尻が半分見えた(一瞬見えてすぐ隠したが)掴まれたのが後ろというのがあって、前はそこまで脱げなかったらしい。
つづく。というか、続き聞きたい?