「ああっ…!」
私はあまりの驚愕に、叫びに近いような大きな声を上
げました。
そこが二階の私の寝室で、畳に敷かれた布団の上で全
裸にされて仰向けの状態で海老折りのように曲げられた
両足を抑えつけられながら、身体の芯の奥に男のものを
突き刺されていたのでした。
私の下腹部に谷岡が膝を曲げて、密着して座り込んで
いました。
これは夢うつつの出来事ではなく、自分が男に犯され
ているのだということを私は実感しました。
上から私を見下ろしている谷岡の表情は、およそ若者
らしくなく落ち着き払っていて、薄い笑みを浮かべなが
ら身体の中に押し入っている固い異物を、時には短く時
には長く激しく腰を前後に律動させてくるのでした。
私の意識が戻る以前から、谷岡は私を刺しつらぬいて
いたようです。
「あっ…」
谷岡の腰が妖しく動くたびに、私は心ならずも声を上
げさせられていました。
剥き出しの下腹部への強い圧迫感に、私の身体は気圧
されていて、最早そこから逃れる術を失くしてしまって
いました。
身長百五十センチそこそこの私に、百八十センチ以上
もある男の抑圧から逃れられる手立ては皆無の状況でし
た。
九年前に離婚してから男との情交は一度もなく、長く
忘れ去っていた女としての官能に、私は内心で大きく狼
狽えてしまっていました。
六十を超えるこの年で、しかも自分の息子よりも年の
若い男に屈辱的に組み伏せられ刺しつらぬかれながら、
その時の私は恥ずかしくも女として堕ちる寸前にまで追
い詰められてしまっていたのです。
年齢とはまるで不相応なくらいに落ち着き払った谷岡
の老練で巧みな性技の前に、私はただ熱い吐息と声を抑
制するのが精一杯の状況でした。
谷岡が上から上体を折り曲げてきて、私の顔に顔を近
づけてきました。
大きな両手ですでに汗の噴出している顔を挟みつけら
れ、私は唇を重ねられました。
「ううっ…むむぅ」
私の呻き声などまるで意に介さないかのように、口の
中へ谷岡の厚みのある舌が強引に侵入してきます。
同時に乳房を荒々しく揉みしだかれ、腰の律動に微妙
に強弱をつけてきて、そのまま時間が経過して、ある時
についに私の手が谷岡の太い首に激しく絡みついていっ
たのでした。
私の女としての陥落の証でした。
自分の息子よりも年の若い谷岡の巧みな性技の前に、
私はそこで脆くも屈服し、塞がれた口の中で彼の舌に呼
応し、自分の方から腰を妖しく揺り動かせていたのでし
た。
「ああっ…いいっ…も、もう」
唇が離れた後も私の両腕は、谷岡の首にしっかりとし
がみついたままでした。
谷岡が唐突に私から身体を放してきました。
すぐに軽々と私の腰を抱え起こしてきて、四つん這い
の姿勢をとらされました。
間髪を入れず谷岡の固くて太い異物が、犬のように這
わされた私の背後からずぶりと突き刺してきたのです。
「ああっ!」
と私はたちまち上気した顔を振り乱して、高い雄叫び
のような声を上げていました。
それはおそらく私が女として初めて感じた強烈な圧迫
感でした。
熱い官能の愉悦が、一気に私の全身に襲いかかってき
ていました。
谷岡が背後で腰を揺さぶるたびに、私は汗の噴出した
顔を激しく振り乱すしかなく、そしてあるところで息を
詰まらせ、
「い、いくっ…!」
と短い言葉を発し、一瞬にして意識を途絶えさせてし
まったのです。
つづく