またあらためて会えないか尋ねる時はさすがに度胸がいったけど、じゃあ今度は先生のうちにいらっしゃいと言ってくれてホッとした。
先生の方が先に降りる駅だったから、場所を確認がてら送るために一緒に降りた。
その時は本当にそれだけのつもりだった。
それだけでも上出来なほど収穫があったからだ。
でも、寄っていきなさいと先生が言ってくれたから素直に従った。
閑静な住宅地にある三階建てのマンションだった。
さすがに部屋にまで入れるとなると期待せずにはいられなかった。
玄関口からしてこざっぱりと片付いた女のひとり暮らしの部屋。
初めて先生に男の存在を尋ねた。
教師って端から見るより忙しいのよ。
出会いも職員室しかないし、婚期を逃すと出会いなんて皆無。
ただ、結婚願望がそこまで強くないし、ひとり暮らしていくには十分な収入もあるから生活にも困らない。
それが、逆によくないのかもしれないけど、今はやっとひとりの方のメリットの方が大きくて、ますます結婚願望なくなっちゃった。
同僚が子育てしながら仕事してるのを見ると、毎日ひたすらあくせくしていて…
私には向いてないかもしれない。
そんなことをツラツラ言ったが、居酒屋でさんざん赤裸々な会話をしてしまったせいか、こっちが教え子だって忘れてるようだった。
もう一杯くらい軽く飲むと聞かれ、先生は簡単な準備を始めた。
それだったら、それこそ結婚を意識しなくてもつきあえる若い相手ならどうですか?
キッチンでテキパキ動く先生に声をかけた。
こっちが良くてもそんな物好きな若い人が都合良く現れるの?笑
やっぱり男の人って若い子至上主義なところあるじゃない?
じゃあ、現実的な事を差し引けば、関係としてはありですか?
ありなら、立候補します。
授業中のように手を挙げたのは、少しオチャラケてないと言えなかったからだろう。
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