半年ほど前、俺は通勤中の電車内で理想的な女を見つけた。彼女の顔立ちは完璧だった。
俺にとって女の顔とはその女のほぼ全てであり性欲の対象そのものある。簡単に言えば、好みの顔をした女の物であれば糞さえも愛おしく思うし、反対に嫌いな顔立ちをしていれば例え女がいくらイイ体をしているとしても全く魅力を感じないのだ。
初めて見たその女の顔は完全に俺をノックアウトした。
俺は呆気にとられ、マジマジと見入り、気が付くと激しく勃起していた。その日、帰宅した俺は、彼女を思い出し激しく自らを汚した。以来、俺は彼女をストークするようになり、夜毎彼女を想いオナニーを続けてきたのだ。
彼女の名前は‘岬’といった。
どうやら派遣社員らしく出勤日や出勤時間などは不定期であったが、携帯電話で有名な大手企業に勤めており、そこから5つ目の駅から徒歩15分のとあるマンションに暮らしていた。一人暮らしだった。
俺は岬を追跡する事にほとんどの時間を費やすようになり、徐々に仕事も休みがちになっていった。彼女の姿をデジカメで隠し撮りし、マンションから出されるゴミは全てチェックした。ゴミからは、その人間のあらゆる情報がわかる。俺は岬の出身地から弟の住所、生理の周期までをも知るようになった。岬には彼氏がおり、週末は彼女の部屋を訪れた。大概は一晩泊まり、翌朝帰った。そして、その翌日のゴミには、大量のティッシュと共に使用済みのコンドームが入っているのだった。キツく結ばれたコンドームの中には多量のザーメンが溜まっていて、その表面はうっすらと湿っており、嗅ぐと、ザーメン臭に混じって仄かに女性器の匂いがする。それが岬から出た匂いだと思うと俺はたまらなく興奮した。俺は岬の写真を見ながらそれらのゴミをオカズに、毎晩毎晩妄想を繰り返したのだった。
そんな生活を半年間にも渡って続けているうち、俺の頭の中では妄想だけが際限なく膨らみ、その決して満たされる事の無い欲求に、つい先日、俺はとうとう音を上げそうになってしまっていた。至近距離から岬の顔を見ていると、俺は抑えきれないまでの欲求に駆られるのだ。岬の口唇を味わいたい!唾液を貪り喰らい、顔中をグチャグチャに汚されながら果てたい!その想いは日増しに募り、しまいには満員電車の中、無意識の内に彼女に顔に抱きつこうとしているのに気付き、慌てて自らを抑えた。もう限界だった。
発狂寸前の頭で、俺は‘ある事’を計画した。