異性の友人なんてあり得ない。世間では言われている。
若い頃、妻は祖父母の世話の手伝いで実家に泊まることがあり、
「なあ、今日カミさんいないから、お茶でも飲んで行く?」
と、Hさんを会社帰りに誘った事がある。当時俺達のマンションは、彼女の通勤ルートの乗換駅だった。
飲み会の帰りで、一息入れたらと誘っただけだが、
「奥さんに悪いからいい。」
と帰宅していった。
俺はリビングで勝手な想像をしてセンズリをしている。アイツが独身なのは、俺のせい?今日、捨てちゃえ、って本音?
色々思い出した。最初の事以外でも不思議な発言が。
初めて3人で会った時、妻はめちゃくちゃイケイケの服を着ていた。
(ヤレヤレ、友達とは言ったけど信用してないな。)
ところが、Hさんは、まるで普段着、髪の毛もボサボサで来たのである。もちろん俺も普段着に毛が生えたような外出着だから、3人で買い物してる時、
「奥様とってもお似合いです。」
と、店員に彼女が言われて、
「私違うから。」
と、怒っていて、それを見た妻が、
「アハハハー、あなた達夫婦と勘違いされてる。面白い。」
と、大爆笑していた。
この時、本当は夫婦に間違えられて嬉しいのを誤魔化す為に怒っていたのかもしれない。
俺は彼女がイケイケの格好で通勤しているのを知っている。いかにも気が強そうな美人なのだ。
その後、Hさんを誘ったら、
「私、奥さんちょっと苦手かも。」
と、言われたから誘わなかったが、妻が気に入ってしまったから、彼女が会いたいと言ったとき、
「カミさん友達少ないから、楽しいみたいなんだ。頼むよ。」
と一年に一回くらい会っていた。
晩年再開した俺達だが、直ぐに彼女は転職したからだ。
俺達が出会ったのは、本社。俺は期待外れで支店に戻されたが、彼女は優秀過ぎて気が強く、敵が多かったから、上司から煙たがれたみたいだったから、支店の仕事に満足せずキャリアを生かせる会社に転職した。
「Hさんと結婚すれば、あなたより年収があって良かったな。彼女が男ならね。アハハハー。」
と、妻は会うたびにご機嫌だったのである。
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