春は、部落の手前で馬車から降ろされ、改めて両手首を前で合わせて縛られた。
縛った縄を手下の乗る馬から引っ張られ、全裸裸足で泥濘の道を歩かされながら、部落に入っていった。
道の左右には、匪族の家族が並んでいる。
「こいつは日本人だ!」と手下の一人が言うと、それまで黙って見ていた子供達が、泥を拾って春に投げつけ始めた。
ここにいる匪族は皆、日本人から酷い目に会った記憶がある者ばかりだ。
春が、たとえか弱い12歳の少女であっても、容赦は無かった。
首領は部落の人達に自分の都合の良い作り話をした。
自分達は横暴な日本人の一団が自分達の同胞を虐げていたのを襲撃した。
この少女はこんな歳なのに、我らの同胞の女の子を裸にして、日本人の男達に弄ぶように勧めていた。
だから誘拐して来たが、これから自分のしたことの罰を受けさせる。
と部落全員の前で演説したのだ。
春はその痩せた身体を、馬を繋ぐ横木に両手を広げた姿で縛り付けられた。
春を罰するのは、部落の女子供だった。
子供達は大人ほどの力は無いが、無邪気に残酷だった。
細い柳の枝を鞭にして、春の背中からお尻、太股の裏側と遠慮なく叩いたし、地面の泥を固めて春に投げつけた。
女達は子供達ほど遠慮無しでは無かった。
それは首領がやがてこの日本人の女の子を、自分の女にするつもりであることが分かっていたからだ。
それに、春と同じ年代の娘を持つ女もいた。
小雪が舞う中、全身を泥と血で汚して気絶している春を、数人の女が縄を解いてやった。
女達は春を担いで、馬に飲ませる水溜の水を全身に掛けて泥と血を流してから、馬小屋の中に馬と一緒に寝かせた。
しかし、逃走をされないように、春の細い両足首には鉄の重い足枷が嵌められ、その足枷から伸びる鎖の端は太い柱に埋め込まれていた。
春は打たれた傷痕のため発熱し、二日間意識不明のままだった。
自分と馬の排泄物にまみれ、喉の渇きを覚えては朦朧として馬の水桶から水を飲んだ。
夢の中に、優しかったサーカスの空中ブランコのお姉ちゃんが出てきた。
春のおかげで、私は助かったのよ。春、ありがとう。
そう言ってくれた。
もっと昔に別れたままの母親も出てきた。
夢の中の母親は春に、帰って来て良いよ、と言ってくれたが春は、私は多分ここで死ぬの、もう帰れないの、と答えたところで目が覚めた。
全身がまだ激しく痛んだが、このまま動かなかったら厄介者として部落から捨てられる。
そうしたら本当に死ぬしかない。
そう思って春は馬の世話に来た女に、声を掛けた。
お願いです。何でもします。豚の餌ような残飯でも良いから食べさせてください。
女は冷たい表情だったが、戻ってきた時には冷たくなった汁と誰かが齧った痕がある餡無し饅頭がぐちゃぐちゃになって入っている鉢を持って来てくれた。
食べ終わると、早速足枷を嵌められたまま働かされた。
馬の糞を拾い、尿で濡れた藁を抱えて外に干し、帰って来た馬の足を藁で擦ってマッサージした。
やっていることは、サーカスでさせられたのと同じだが、働いている時も子供達が集まっては、春に泥を投げつけ棒で叩こうとした。
「やーい、裸の牝犬!」
そんな日が何日も続いた。
春が重い水桶を抱えて運んでいると、いきなり後ろから蹴飛ばされ、水を溢し自分の身体は泥だらけになった。
子供が蹴ったのを見ている筈なのに、匪族の女は、水を溢した罰として春を鞭で打ち、さらに飯抜きを言い渡した。
寒い中、食事を貰えずに、春は馬小屋の藁に潜り込んで寒さを耐えようとした。
しかし、寒さと空腹で耐え切れない。
春は馬の餌を入れる飼い葉桶の中を覗いた。
そこに、馬が食べる筈の大豆が数粒残っていた。
春は夢中で大豆を掴み、口に入れた。
硬い豆を噛んでいたら、急に意地悪な女が入ってきた。
女は春が何かを噛んでいるのを見つけると、春の頬を叩き、さらに両方の頬を手で強く挟みつけて無理やり口を開けさせ、そこに噛み砕かれた大豆を見つけた。
女は他の人を何人も連れて来た。
お前は人間では無く家畜なんだ。
家畜の中でも馬は最高の動物だか、お前は一番下なんだ。
それなのに馬に食べさせる大豆を盗み食いするなんて!
春は足枷をされているから逃げられない。
その場で大人数人から、殴る蹴るのリンチを受けた。
さらに大人達は春を外に引き出すと、最初の日に縛り付けられた横木に縛られた。
もう満州は冬である。
本格的な雪が降り始め、地面は黄色い泥から白い雪一色になっている。
その白い世界に全裸のまま縛り付けられ、さらにその細い身体に鞭を受けた。
白い雪に、鞭に着いた春の赤い血が飛び散った。
部落の中でも一枚意地の悪い女が出てきた。
何?この小娘が大豆を盗み食いした!
それでは、自分の豆で償わせよう。
女は短刀を抜くと、回りの女や若い男に命令して、春の両足を裂けたように拡げさせた。
春はもう、疲労と痛みと空腹、それに寒さで朦朧となっていた。
私のあそこの豆が切り取られるんだわ..。
痛いだろうけど..、どうせこのまま外に縛られてたら寒さで生きてはいないだろう..。
そうしたらお母さんのところに帰れるかな..。
自分のクリトリスが乱暴にしごかれ剥き出しにされてる時、春は生きるのを諦めていた。
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