普通なら気が狂いそうな苦痛を受けながら、春は苦痛を別の世界のことのような感じに受け止めていた。
鉤が膣から肛門に引っ掛けられた時、ぐふっ!とわずかに苦痛の声をあげたが、心の中では旦那様から初めて貫かれた時の事をぼんやりと思い出していた。
「これから引き出します。気を確かに!」
執行人が囁いた。春が頷くと、執行人は助手に合図をした。
鉤に結び付けられた縄が、処刑台の下まで伸ばされ、それを6人の男が握ってる。
助手の合図で、男達は縄を引いた。
春の股間で、ブチッ、ブチッ、と不気味な音がしたかと思うと、ズルズルズルと春の内臓が引き出され、ブッ、とえぐられた部分から一気に血が血飛沫となって吹き出した。
春は口からも、ゲボッと大量の血を吐いた。
執行人は、引き出された内臓を長さ60センチくらいのところで鋭い刃物で切断した。
春の子宮とそれに付属した卵巣、それに大腸の一部が身体から切り離された。
執行人は抉られて真っ赤な穴となっている春の股間に焼きごてを当て、焼き潰すようにして出血を止めた。
春の顔を覗き込むと、目は開いていたが、その視点は定まっていなかった。
執行人は薬草などを浸け込んだ強い蒸留酒を春の口に注ぎ込み、鼻に強くいやな匂いがするくる薬を嗅がせて名前を呼び掛けた。
しばらくすると、春の目の視点が定まってきて、春は意識を取り戻した。
引き抜かれた春の子宮は、執行人から切り取られて王首領の手元に届けられたが、千切れた腸の一部や肉片は、処刑台の近くにいた観客から奪い合いとなっていた。
執行人は次に春の左右の脇の下直ぐの腕を、紐できつく縛った。
「右手から切断します。」
春に声を掛けると、縛った所の直ぐ下に、薄く鋭利な刃物を入れた。
腕の周囲にぐるっと刃を入れ、皮膚や筋肉を切断すると、今度は目の小さい鋸に持ち替え、骨を切断する。
春はぼんやりとした視線で、切断されている自分の右手を見ていた。
生きている人間の骨は硬いが、春の骨が細いのと、執行人の技が優れていたため、切断には時間はあまり掛からなかった。
切断面は焼かれ、次には同様に左腕も切断された。
背後の板に磔けられるのに、手が無くなったから、代わりに肩口を太く長い釘で板に打ち付けられた。
続いて右足。動脈を外して太股の付け根を釘付けされ、やはり強く結束されてから切断された。
左足も同様に。
この頃はもう、執行人は数分おきに春の口に酒を注ぎこみ、停まりそうになる心臓を持たせていた。
春のぼんやりした視線の先に、処刑台の下で何かが火で炙られ、焼けた部分が削り取られるようにして周りにいる人から食べられているのが見えた。
切断された春の手足だった。
王首領は春に二時間も苦しませるつもりはなかった。
「時計を進めよ!」と部下に命令したが、迷信深い部下達は、春が本当に二時間かけて苦しんで死ななければ呪いが残ると思っているらしい。
それでも後10分程で二時間になる。
いよいよ春の腹部が切り開かれ、腸が巻き取られる場面となった。
斜めに立て掛けられた板に張り付けられた春の斜め上に、春の腸を巻き取るための車が取り付けられた柱が立てられた。
「最期です。言い残すことはありますか?」
執行人から聞かれて、春は驚く程はっきりした声で、「皆に..、感謝します..」と言うと初めて自分で目を閉じた。
春の腹が縦に裂かれた。執行人の手が腹腔内を探り、腸の一部を握って引き出し、それを巻き取り用の車に掛けた。
車が廻り始め、春の腸が巻き上げられていった。
口からは断続的に血が吹き出した。
もう春の肌の色は真っ青だった。
数メートルの腸が巻き上げられた。
大量の出血で意識は朦朧としているのに、断続的に訪れる激痛が春を現実に引き戻した。
何度目かの激痛の時、春は小さく口を開けて言った。
「あと..、何分くらい..?」
近くで荒々しい足音が聞こえたような気がした。
「時間だ!お前は約束を守った。もう眠れ!」
王首領は春にこう言うと、その剣で春の心臓を貫いた。
「大謝..」そこまで言って、春は目を閉じ、安らかな顔になった。
それから後、春が処刑された地区では、悪魔から仏様になって民衆を救ったと言う春鬼神を祭るようになった。
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