自宅へ帰る途中で
楽しい幼稚園での運動会が無事に終わったあと、険しい坂道を上がりながら自宅へ帰ろうとする三人家族。ところで幼稚園の運動会で頑張っていた保枝。彼女は再び母親に抱っこされているのだろうか。いいや、そうではない。何と保枝は兄に抱っこされているのだ。そんな性的にいやらしい兄を嫌っていたはずなのに。保枝は確かにそう思っていたけど。それにも関わらず、いったいなぜなのか。保枝がそんな兄に抱っこされている時に何気なしに思った。「お兄ちゃんは確かにあたいとってはあまりにもエッチなところがありすぎる人だけど。でも、どこか憎めないところもあるみたいね。だってあたいはずっと前から仲がいいんもん。」保枝は心の中で深くそう思っているうちに、これからもそんな兄と一緒に居たいという気持ちになっていた。彼女が今抱いている気持ちがほんの少しの恋愛感情へ変わろうとしていた。すると、三人の間に会話がはじまる。「なあ、保枝。今日はよく頑張ったね。笊担ぎリレーだけではなく、一般のリレーでも一位になったんだから。保枝、本当に偉いよ。」保枝が兄からそう言われて凄く照れくさくなり。「あたい、そうでもないけど。でも、笊担ぎリレーの時、お母ちゃんもよく頑張っていたもん。」「保枝は元々運動するのが好きだからね。リレーだけではなく、縄跳びや鉄棒も凄く上手いだからね。それに、僕とは違って運動神経も抜群だから。」「あたしもそう思っているの。お兄ちゃんの言う通り。」「ねえ、お母ちゃん。縄跳びや鉄棒のやり方を保枝に教えてあげたのはお母ちゃんだったよね。」「そうよ。保枝が三才の時、あたしが縄跳びとか鉄棒のやり方を教えてあげたんだから。それに、もっちゃんにもやり方を教えてあげたんだけど。でも、なかなか上手にできなかったわ。」「お母ちゃん、それは今から二年前のことじゃないか。当時、僕は八歳だったけど。」「ああ、そうだったよね。確かにもっちゃんは教えた通りに一生懸命頑張っていたけど。」「ああ、そうだったよね。僕はもっと単独で頑張って練習すればよかった。僕が保枝と違って運動神経が鈍いのはそれなりの訓練が足らなかったのかもしれないな。」「そうよ、あの時にお兄ちゃんだってあたいと同じように運動神経がよくなるように訓練すればよかったのに。あたいは二才の時から友達とかけっこしてきたんだから。もしお兄ちゃんが縄跳びと鉄棒をする気があるんだったら、あたしがやり方を教えてあげる。」
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