試合前のパフォーマンスとはうってかわって、リング上では普通のプロレスが繰り広げられていた。最初男たちはがっちりと組み合って、力比べをしていたかと思えば抱きかかえて相手を投げる。投げられた相手も投げ返す、音だけ痛そうなスピーディな攻防を繰り広げていた。
一方の女性同士といえば、殴り合いのような様相を呈していた。相手が殴れば殴り返して、髪を掴んで逃げられないように拳を叩きつけ合う。文にするとそうでもないが、ほとんど普通の喧嘩だった。
そんな中で、男同士、女同士の攻防でチームごとに明暗が分かれた。
最初にピンチになったのは日本人レスラーだった。腹部を蹴り上げられ、膝をついたところに韓国チームの男レスラーの蹴りを思いっきり側頭部に食らうと倒れ込んでしまうと、そのまま腕を掴まれて腕ひしぎを決められてしまう。
抵抗はしてみせたが、ぐいっと引っ張られれば大きな声をあげて、会場は優位に立つ韓国人男性への応援と悲鳴をあげる日本人の様子を楽しんでいるようだった。
しかし女性側では、乱打戦を制したのはアッパーを決めた黒いコスチュームに身を包んだ女性だった。崩れるように倒れこんだ韓国人の女性の脚を掴むと、素早い動きで体を回転させながら足を絡める4の字を決めて見せた。
華麗な動きに拍手が、韓国人チームの女性が少し大げさな感じに声をあげた。日本人とはやはり悲鳴の質が違うようで、やや低いような気もする独特な感じの声だった。
互いに相手を締め技を決めたまま、しばらく責め続けてみせた。
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