今の時代、ドールは珍しくはない。なぜなら、『デート用のドール』も発売をされていて、現に街を連れて歩くヤツも現れたほどだ。
それを見た女性はやはり変な顔をするが、それも数年すれば当たり前の光景になるのかも知れない。それほどドールは、身近なものになっているのだ。
しかし、便利とは言えないかも知れない。まだまだ、開発の余地があり、全てをまかなえないのも事実。
街を連れて歩くデート用、身の回りの世話をする家事用、そして所謂セックス用のラブドール、それぞれ別々に買い揃える必要があるのだ。
悲しいかな、セックス用のラブドールが需要が多いため、その中でも一番の安価となっている。
『ピンポーン~。』、土曜のお昼にチャイムが鳴った。時間通りであるため、オリエンタルコーポレーションの方だと分かる。
玄関を開くと、二人の男性が立っていて、傍らには完全な運搬用の台車に乗せられた大きな段ポールが見えた。
『お届け物です!』とハッキリとした言葉でいい、ご近所にも不信に思わせない行動をとる社員さん。
段ポールの上には、更に小さな段ポールが乗っていて、中身は『きっと下着…。』と想像します。
荷物を受けとると、『ありがとうございました!』と大きな声で、彼等は去って行くのでした。
大きな段ポールは居間に置かれました。カッターで丁寧にテープを切り、上のフタを開きます。そこには
ビニールにくるまれた死体のようなものが見えます。
ラブドールに間違いありません。僕は脇の下に手を掛け、彼女を持ち上げようとしました。しかし、『重い…。』と意外な重さに手こずります。
細身の彼女ですが、身長が高いため、結婚な重さなのです。まさに、リアルドールです。僕は腰に力をいれ、再び持ち上げます。
ズッシリとくるこの重さ、まさに『人』。僕は、裸の女性を持ち上げているのです。
ドールが箱から出てきました。箱に入るため、小さく身体を丸めた格好でしたが、その体勢のままに上がって来ます。人のようにダラ~ンとはなりません。
ドールの傍らに、説明書があります。辞典のようなものを想像していましたので、カタログサイズの薄さに少し驚きました。
説明書の始めに、『チェック!でスタート。』と書かれていて、ドールの耳元で囁く絵まで描かれています。
僕もその通りにしようと、ソファーで丸まるドールの耳元に口を近づけました。『おんな…。』、その姿はソファーで眠る女で、やはり戸惑ってしまいます。
それでも思いきって、『チェック!』と叫んでみました。
すると、僅かな起動音がしたと思えば、すぐに身体を震わせ、その丸まった身体がゆっくりと伸び始めます。
丸まったただの物体が、女へと変わって行くのです。ドールは目を開き、器用にソファーに座ろうとしているのです。
ドールはソファーに完全に座り、両足を地面につけました。しかし、すぐに足は浮き、片足をソファーに置き、その股間を僕に見せようとするのです。
ほんと、よく出来たドールでした。その片手で股間を隠し、女性器を僕には見せません。その姿だけでも、興奮させてくれるものでした。
ドールは僕を見ました。機械の目とは言え、その眼差しに見つめられ、僕は緊張をしてしまいます。
そして、『タカくん?』と僕を呼ぶのです。出す声と口の開く速度がバッチリ合っていて、とても自然に呼ばれました。
『はい?』と普通に返事をしてしまった僕は、彼女が機械であることも忘れてしました。
そして、『私を抱いてくれる~?』と言われ、たじろぎました。
ソファーに座り、大きく股を開き、手でアソコを隠してた女性が、『抱いてくれる?』と誘って来たのです。
『ラブドール』、そう彼女はセックス専用のドールだったのです。
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