ゼツの持ち物中には古ぼけた包装紙に包まれた未開封の物も沢山あった。
そう、欲しい物を買うだけで満足すると言う変な癖である。
よっぽど気に入った物で有れば一つは自分用にして、二つ買うと言う癖もあると言う。
まさに
今回の黄色い財布がそれである
言ってみれば
「R」のボタンも本物とコピーであるが二つである。
日光のホテルで拾った「R」のボタン。
ホテルのフロントに問い合わせたところ、間違いなかった。
電車の中で拾った「R」のボタン。
二つである。
ゼツは
コインランドリー横のアパートに住んでいるSYに対して
何を二つ用意するつもりだったんだろうか?
それは凶行に及んでいない今、誰も知るよしもないことである。
金舟は
得体の知れない津川善次と言う男の調書をとるだけである。
本部長は
鑑定結果が黒と出てすぐに
遺族に犯人確保、逮捕の一報を入れていた。
昨年、三回忌をおえて
月命日の法要を終わらせたばかりであろう遺族は、ようやく娘に報告出きると涙ながらに受話器越しに、何度もありがとうございますと、どんな男でしたかと繰り返すばかりであった。
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