鉛色の空は奥能登の風景をより淋しく暗いものにしていた。
「さゆりさん、お若く見えますね」
鈴木は隣の助手席に座るさゆりを横目にそう言った。
「そう、ありがとう」
真っ白なセーターとベージュの毛糸の帽子を被ったさゆりは想像以上に若く見えた。
「鈴木さん、こんなおばさん誘っていいの」
さゆりは鈴木の反応を覗うように尋ねた
ネットでいかがわしい写真を載せている男には思えない知性を感じたからだった。
「いいですよ、ぼくの好みです・・・」
鈴木は金沢の駅のホームで初めてさゆりを見て色白でぽっちゃりしてて可愛いと思った。
「よかったわ・・・・」
さゆりも鈴木の長身の背と彫りの深い顔が気に入っていた。
「ところでランプの宿ご存知でした」
「いや、僕は初めてですどんなところですか・・・」
「海岸端の険しい道を降りたところです、もうそろそろです」
「あっ、今看板がありました」
人気がほとんどなく、行き交う車もまばらの隠れ屋といった宿はふたりの一夜をあかす格好の場所であった。
鈴木はさゆりからほのかにかおる香水の臭いを嗅ぎながらセーター越に膨らんだ乳房を想像して硬くしていた。
「車はここに止めるのよ」
さゆりの指示で鈴木は車を止めた。
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