「わ…分かったわ…言う通りにするから…」
(やらなきゃ言われた通りに…身の破滅だけは避けなきゃ…)
まるで死刑囚のような足取りで蛭川に連れられ店のドアまで歩み寄る。
「いらっしゃいませ〜、あら、朝比奈さんじゃないの お久しぶり〜」
個人店らしく他に客はいない、美鈴や蛭川より10程年上に見える女性が声をかけてきた。ここの女性店長だ。
美鈴は、蛭川が一緒にいるだけであらぬ誤解をされないか冷や冷やしてしまう。
「あら朝比奈さん、今日はご主人さんじゃなくって、えーっと…お連れの方はご友人かしら?」
「そ…そうなの…ちょっと色々お世話に…なってる方なのよね…」
(世話になってる人?友達じゃなくて?どういう事なんかしら…?しかも朝比奈さん、なんかオドオドしてる?)
客商売がら女店長は、二人の関係に少し興味が湧き始める。
「朝比奈さん、今日は新調をご検討なのかしら?
美鈴は先程、蛭川から命令されていた言わねばならない台詞を思い出した。
「あの…今日は…普段よりも…その…普段より少し…大胆な感じでお願いしようと思って…少しセクシーさを出したいかな…って」
「えっ?大胆に?朝比奈さん、何かイメチェンを考えてるとかかしら?」
「そうだよね 美鈴ちゃん、セクシー路線つうかスケベでエロく見られる格好したいって言ってたよね? そうだよね?」
日頃の深い付き合いでは無いにしろ、数年間利用している馴染みの女店長に対して美鈴は顔から火が出る想いだ。
更に蛭川の言葉を肯定していかなければならない。
「え、えぇそうね…その通りよ…スケベでエロい出来になるようにお願いしようかしら…?」
女店長は、まるで男に無理矢理言わされてるようなオドオドとした態度の美鈴を少しばかり心配もしたが、どちらかというと二人の関係には既に興味津々でもあった。
(朝比奈さん、あんな凄い事言っちゃってどうしちゃったのかしら? それに旦那さんでもないあの男…もしかして…ただならぬ関係かしら…?)
「分かったわ〜、あとそう言えば朝比奈さん、久しぶりだから採寸もいたしましょうか?」
採寸なんてとんでもない、今の美鈴はノーパンノーブラなのだ。メジャーを当てただけてそれがバレてしまうかもしれない。
「いえ…今日は採寸までは…」と美鈴が言いかけた所、
「せっかくだから計ってもらいましょうよ、どうせなら脱いで正確に計ってもらった方がいいよね?」と蛭川が被せる…となると美鈴もそれに同調せざるを得ない。
「そうね…ならやっぱりお願いしようかしら…」
「じゃあそこの試着室で計りましょうか」
女店長は既に期待感に心踊っていた。何故なら美鈴のバストの揺れが普通の女の揺れとは明らかに違うのを見抜いていたのだ。
(ジャケットの上からでもこの揺れ方…もしかして朝比奈さん、ブラジャーしてない…?)
「じゃあ、脱いで下着になったら教えてね メジャー当てるから」
既に怪訝な思いの女店長は(何か面白そうな関係の二人ね…)と思いながら美鈴を試着室に入れた。
試着室の中の美鈴は途方に暮れていた。
いつもなら下着姿になって採寸をしてもらっていたのだが、今の美鈴はノーパンノーブラなのである。
(いくら何でも脱ぐ訳なんて出来ない…)
「あ…あの…今日は服の上から計ってもらっても…いいかしら…」
弱々しく試着室の中から答える美鈴だったが、その言葉を聞いた蛭川が追い打ちをかける。
「ダメだよ〜美鈴ちゃん、しっかり計ってもらうんだから店長さんの言う通りしなきゃ!」
(…あぁ…やっぱり…どうしても脱がなければいけないのね…)
もうどうにでもなれ、と思いきって上着、ブラウスを脱いだ美鈴は、ふと振り返って鏡に映った自分の背中に驚愕した。
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