翌日曜日も雪菜は13時から勤務だ。
普段通り30分前の12時半に駐車場に着いた。
『今日も正面からかな?』
ピンヒールに履き替えると正面入口に向かった。
『あらっ?展示車が変わってる?』
展示車は2台並べられていた。
『どうしたのかな?』
「いらっしゃい...あっ雪菜ちゃん。おはよー」
小池がフロントに立っていた。
「おはようございます。展示変えたんですね?」
「そうなんだよー。雪菜ちゃんが帰ってからね」
「どうされたんですか?」
「何年か苦情もあってね...あっ。事務所で話すよ」
雪菜はショールームの階段を上がっていった。
「実はね。雪菜の制服がね...嫌いな客...ファミリー層かな。怒ってたよ...アハハ」
「着替えましょうか?」
『それと展示車がどう関係してるの?』
「いや、それ制服だからそのままで良いよ。それと実際はスポーツカーは台数伸びないしね。コンパクトカーの方が需要あるし、何故展示してないんだってクレーマーもね...アハハ」
「そうなんですね」
「コンパクトカーを入口寄りに止めたから、ファミリー層は奥のアニバーサリーモデルには来ないかも。興味あったら覗くだろうけど...」
「でも確かにあのコンパクトカーのカタログも多く出ましたよ」
「そうだろ。ショールーム見てごらん」
中2階の事務所からフロアを見た。
「2台の間に観葉植物を配置しておいたよ」
「はい」
「雪菜はアニバーサリーモデル専門で接客してくれる?」
「他の車種は?...カタログとか...」
「あぁ。他はあいつ等に担当させるから...」
「えっ?」
「アニバーサリーモデルに興味がある客だけ奥に行くからその接客をしてくれ」
「でも今井さんが接客してますよ」
「それは雪菜ちゃんが出社前だからだよ」
「あー。...はい」
「商談用のテーブルなんかも手前に持ってきておいたよ。たぶん商談する客も少ないと思うんだ。多くいたら声かけてね」
「はい」
「カタログはアメニティグッズのテーブルに置いてあるから補充はタイミング見て任せるよ」
「カタログはフロントですか?」
「あぁ。全部出すと見栄えも悪いからね」
「カタログ取りにそっち行っても良いのですか?」
「いや別にどこにいても良いんだよ。暇なときはあいつ等も応援しに生かせるし...あのね、本音言うと売れる車を売って台数稼ぎたいの」
「でも売れましたよ」
「そう。だから雪菜ちゃんに任せるんだよ。年代的にも若い客が多いし男より女の営業の方が好きだろ?」
「そうなんですか?...バイトだけど...」
「ということ頼むよ」
「分かりました」
「じゃあ俺は下行ってるから13時になったらお願いね」
「はい」
『スポーツカーって売れないの?格好良いけどな。私には運転は無理そうだけど...』
「今井さん、変わります」
階段で捲れたスカートを直しながら声をかけた。
「あっ、雪菜ちゃん。お願いします」
その声に4名の客たちは雪菜を見た。
『昨日より少ない?』
雪菜は車の周りをゆっくり歩くと車を見ながらチラチラ雪菜を視ている。
「いかがですか」
適当に声をかけた。
「うん。良いね」
「ありがとうございます。ごゆっくりどうぞ」
順番に声をかけていった。
「いらっしゃいませー」
「えっ。あっ。見させてください」
雪菜の格好に驚いている。
「どうぞー。こちらカタログになります。ご不明な点がございましたら承ります。アンケートのご協力もお願いしたいのですが」
「あ...ありがとう...中に座っても大丈夫ですか?」
「はい。どうぞ」
雪菜は運転席のドアを開けた。
「ありがとう」
他の客は雪菜の会話を聞いている。
「良いシートだね。フィットするよ」
「はい。バケットシートですので身体も保持されます。私が座ってもピッタリなんですよ」
「そうなんだね。エンジンはかけれる?」
「申し訳ありません。エンジンはかけれないのですが...」
「そうですか...いや良いんだけど...ありがとう」
客は運転席を離れた。
「いらっしゃいませー」
また客が来たので雪菜はカタログを渡しに行った。
「あの。すみません。アンケート用紙いただけますか?」
他の客が雪菜に問合せた。
「はい。ありがとうございます。こちらです」
『今井さんアンケート用紙配ってないの?』
アンケートを記入した客に顔写真の名刺を渡していく。
その後痴漢もされることなく時間は過ぎていく。
「すみません...見積もりをください」
「はい。ありがとうございます。こちらのお席へどうぞ」
雪菜は国道に面したショーウインドウに配置された席まで誘導した。
「お客様。お飲み物はいかがですか?こちらからお選びいただけます」
「そうだな...冷たいジャスミン茶を」
「かしこまりました」
雪菜は小池に商談になったことを伝え給湯室に向かった。
小池は観葉植物の間から覗いた。
『何人いるんだ? 見積もり客以外に4名か。運転席にも1人いるな...5名か』
「お待たせしました」
ジャスミン茶とクッキーをガラス製のテーブルに置くと椅子に座った。
座った瞬間スカートは腰まで捲れ上がった。
「清水様ですね」
雪菜はアンケートを見た。
清水はテーブル越しに雪菜のスカートが捲れたのが見えて生唾を飲み込んだ。
雪菜はテーブルにカタログを広げると太ももだけが清水に見えていた。
『カタログ邪魔だな...しかし乳首ビンビンじゃないか...』
車を見ていた客も雪菜のお尻や下半身側面を視ている。
『スゲー』
『俺も見積もり貰おうかな』
「ではこの内容でお見積りいたしますので少々お待ち下さい。下取車はございますか?査定させていただきたいのですが...」
「あぁ。じゃあお願いします」
雪菜は鍵を受け取るとスカートを直しながら立ち上がった。
『ノーパンなのか?パンツ見えなかったぞ』
清水は振り向いて雪菜を目で追った。
車付近の客と雪菜の近くに寄っている客は丸出しのお尻を拝めた。
「北川さん。査定お願いします」
「あいよ」
北川は鍵を受け取ると駐車場へ向かった。
雪菜は鍵を渡すと事務所への階段を上がる。
他の車を見ている客や商談中の客もフロアから雪菜を見上げた。
雪菜は事務所で査定待ちだった。
『あとは査定がどのくらいかな』
10分ほど待つと北川が上がってきた。
「査定額は○万だな」
「ありがとうございます」
鍵を受け取り入力する。
「車検まで3ヶ月だ。これ納期はどれくらいだ?」「5台は確保してるから、あと4台はすぐに納車できますけど...それ越えちゃうと数ヶ月?聞いてみないと分からないです」
「そうか。因みにスポーツカーに乗ってるぞ。もしかしたら脈アリかも」
「本当ですか?ありがとうございます」
見積書を出力して階段を小走りで下りた。
カツッ カツッ カツッ
フロアの客の視線が雪菜に向けられる。
見ていないのは新規の来店客だけだ。
「鍵をお返しいたします」
「うん。どうだった?」
清水はスカートを視ながら聞いた。
雪菜は清水と他の客たちに見守られながら席に座った。
『おぉー 縦スジ見えた...パイパンか?』
「こちら見積書です。トータルでこの金額に...」
カタログは端に避けられていた。雪菜は見積書をテーブルに置くと再び太ももしか見れなくなった。
「ありがとう」
清水は見積書を手に持つと顔に近づけた。が、見積書の下から雪菜の下半身を覗いていた。
『肉便器?肉便器って書いてあるよな?肉便器?』
清水の肉棒が大きくなる。
「査定はこれくらいなんだね」
「はい。申し訳ありません」
「いかがでしょうか?」
「やっぱり高いよね...」
雪菜は納期などの説明をするが清水の顔が見えない。
『ずっと視てるのかな?購入意思が分からない』
「ちょっと考えさせてね」
清水は見積書をテーブルに置いた。
「よろしくご検討お願いいたします」
「ところで名刺いただけますか?」
「ハッ...失礼しました」
『あっ。アメニティテーブルの上だ』
雪菜は席を立つとアメニティテーブルに行き名刺入れを開けた。
『あっちの名刺を渡すか...』
「すみません。事務所から持ってまいりますので、一緒に見積書とカタログも袋に入れてまいります」
見積書とカタログを持って事務所へ上がった。
新規来店客も雪菜を見上げていた。
「お待たせしました雪菜と申します。よろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
『えっ...乳房まで写ってる...』
清水は雪菜の顔と透けてる乳首を見た。
「よろしくお願いいたします」
雪菜は微笑んだ。
「こちら当店のティッシュです。お見積りしてくださった方にお渡ししております」
「あ...ありがとう」
『早速使えそうだよ』
雪菜は清水を見送りに外に出た。
「あらっ?雨?」
「じゃあ雪菜ちゃんありがとう」
雪菜は国道に出て車を止めた。
清水はクラクションを鳴らして走り去った。
ショールームに戻ると雨に打たれたブラウスがポツポツと透明になって水玉模様のようになっていた。
清水に出したコップや皿を片付けていると見積もりをくれと順番待ちになった。
雪菜は応援を頼み対応した。
『チッ お前からの見積もりなんていらないんだよ』
20時になり雪菜はショールームを閉めた。
『夕方から忙しくなったなぁー。でも見積もり出してる方が楽だわ』
「雪菜ちゃんおつかれー」
「お疲れ様です」
「反応どうだった?」
「んー分かりません...」
「そうか...じゃああがりな」
「はい」
雪菜はアンケートを購入したファイルに綴じた。
「なんだそれ。買ってきたのか?」
「はい。名前順に揃えて...良い感じの人は付箋貼って...だってアンケートたまっちゃったから」
「ファイルならあるのに」
「可愛いのが良いの...ではお先に失礼します」
『ウヒャー ビショビショだわ』
雨が酷くなってきて駐車場に着くまでにブラウスは透明になった。
「えっとー。矢野さん...」
ファイルから矢野のアンケートを見て住所をナビにセットすると電話をかけた。
「もしもし○○自動車の雪菜ですが」
「あー待ってたよー。何時頃になる?」
「今から出ますので...ナビだと21時10分に...よろしいでしょうか?」
「うん。よろしい、よろしい」
「では出ますのでよろしくお願いします」
「うん。気を付けてねー。ところで制服?」
「はい」
「じゃあ待ってるよ」
電話が切れた。
雪菜は駐車場を出て矢野の自宅に向かった。
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