その日の夕方、誰かが部屋のドアをノックした。
『はい、どちらさまですか?』
『隣の白川です』隣の白川?えっ!?まさか…
慌ててドアをすぐに開けた。
『こんばんは、隣に引っ越してきた白川と申します。今朝も失礼致しました』
三十代半ばぐらいだろうか…派手さはないが…なんとも美しい…
『あ、こちらこそ。古谷と言います。大学生です。』
『学生さんだったのね、昨夜…もしかして何か聴こえました?』
『あっ。えっ、いえっ!なにも…聴こえなかった…です』
『フフッ…可愛いわね、あっ、ごめんなさい。
どうしようか迷ったのですが…これ、ご迷惑でなかったら使ってみてください』
半ば強引に、小さな箱を手渡された。
『えっ!?なんなんですか?』
『いいから、いいから…じゃあこれから宜しくね!』
妖しく微笑みながら彼女はドアを閉めた。
いったいなんなんだ…学生だと思ってからかっているのかなぁ。
とにかく、箱に何が入っているのか…恐る恐る開けてみた。
なんだかスイッチのようなものと、メモが入っていた。
『私、白川真由美と言います。訳あってしばらくここに住むつもりです。
今朝あなたを見かけて…あなたに決めました。
私は…変な趣味があります。いわゆるマゾ女です。それもドが付く…ドマゾ女です。
あなたに調教していただきたくて。
このリモコンは、私を調教するための遠隔ローターのリモコンです。
部屋にいる時は、必ず常に挿入しています。
そして、このアパートは壁が薄いので電波も届くと思います。
調教用のローターが作動しましたら、壁を2回ノックしますので、1回ノックでご返事していただけると嬉しいです。私は…壁のそばにいます』
『マジか…俺が彼女を調教するのか!これは夢か?スマホやLINEの時代に壁をノック!?
なんだかレトロな感じもするけど、逆に妄想力を掻き立てられちゃうな!』
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