「恵がレズビアン?…」
孝は、頭を抱えてしまった。
「私が外出から帰宅した時に、真希と恵さんが丸裸で抱き合い、レズビアンの行為をしているのを見てしまったんだよ。その場では何も言えなかったが。」
「はい…」
「その後、真希に確認すると、そういう仲になっていると…どうやら、温泉旅行の時がきっかけだと…私も真希をセックスレスにしていたと反省はしているが…」
坂井は、芝居を続けている。
「そうですか…真希さんは、それで恵にいろいろと高級なプレゼントを下さっていたのですか…」
孝が真希を見つめて言った。
「真希!どうなんだ?どちらが誘ったんだ?何度やったんだ?」
叱りつけるように真希に向かって言った。
「恵さんからです…もう何度も…」
真希がうつむいたまま、重い口を開いた。
「なぁ、大将…大将も私も女房に構ってやらず、こういうことになってしまったんだ。お互い、女房を責めるのはやめよう…恵さんだって一生懸命努力してここまで店を大きくしたんだ。」
「はい…でも恵がレズビアンだとは…」
「私達と縁を切ると、まぁ、真希の気分次第だが、あっと言う間に倒産するぞ」
「は、はい…」
「君だって、インポテンツ気味なんだろ?恵さんの性欲はどう満たせてやれるのか?それなら、どこの馬の骨かわからん男に熱を上げるより、真希との交際を許せば、まだ安心だろ…」
「まぁ…知らぬ男に熱を上げるよりは……あっ、確か、恵には過去、彼女がいたと噂では知っていたのです。」
「そうなのか?」
「だから…あまり…セックスには積極的でない女と思っていたのです。」
「じゃあ、大将は恵さんの裸も最近は見ていないのか?」
「は、はい…」
「お互いの女房、真希は33歳、恵さんは30歳、どう考えても、性欲旺盛の時に構ってやらなかった私達のせいだな…」
「はい…」
「私は真希を許そうと思っている、大将は恵さんを許せるのかな?」
「はい…知らぬ男より、真希さんとなら…」
「そうか…じゃあ、公認だな?」
「はい…」
「じゃあ、今まで通りのお付き合いだ、小料理屋中井もますます発展するだろう…」
孝は、坂井夫妻の芝居にまんまと騙され、恵のレズビアンを公認してしまった。
結果的には、店の経営が大切だったのだ。
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