「おや?何だこれ」
男が肘掛椅子の下に屈み込み何かを拾った。
手錠の鍵だった。
やはり友美の手に嵌めた手錠の鍵穴から抜け落ちて床に落ちて
しまっていたのだ。
「どうやら手錠の鍵のようだな。
分かったぞ、奥さん、オナニーに狂ってる内に鍵が落ちて
手錠が外れなくなったんだな。
ヒヒヒ、そんな時に俺が忍び込んで来るとは奥さんも
よくよく運が無い女だな」
「あぁ、お願いです…手錠の鍵を外してください!」
友美は後ろ手の手錠をガチャガチャ鳴らして懇願する。
「いいぜ、俺も鬼じゃない。困ってる女がいたら助けるくらいの
男気はあるさ…手錠、外してやるよ」
「えっ、本当ですか?あ…ありがとうございます!」
男の思わぬ返事に友美の顔が明るくなる。
しかしそれも一瞬だった。
「ただし、奥さんが自分でこの鍵を俺から取り返したらだけどな」
男はそう言うと舌を出してその上に小さな鍵を乗せると、
そのまま男の息が掛かるくらい近くまで友美の顔に自分の顔を
寄せて来た。
友美の自由を取り戻す鍵はわずか数センチの場所にある。
手を伸ばせば簡単に取れるのにそれすら出来ない。
「手が使えないなら別の方法があるだろう?」
手も足も使えない友美が自由になるのは頭だけだった。
初めて男の卑猥な意図に気がつく。
(そんな…うぅ…)
しかし男は確かに鍵を取り戻せば手錠を外してくれると言った。
「飲み込んじゃおうかなぁ…」
男は舌に鍵を乗せたまま器用に話す。
躊躇っていられない。
友美は目を瞑って顔をせり出し、舌を伸ばす。
その舌先に金属製の鍵の触感を感じる。
(鍵を…)
舌で掻き出し、鍵を取り返そうというのだ。
そのためにはもっと深く舌を挿入しなければならない。
男は器用に舌を丸めて鍵を奥へと移動させる。
「むぐぅ…」
煙草臭さの残る男の口臭が友美の鼻をつく。
唇同士は密着し、男の口中に進入した友美の舌は
そこに待ち受けていた男の舌と絡み合っている。
表も裏もザラザラした男の舌に蹂躙され、友美のものか
男のものか知れない唾液が唇の端からこぼれる。
夫ともしたことのないディープキスである。
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