「ねぇ友美さん、聞いた?近頃この町に痴女が出没するんですって」
友美は家の前を掃除している。
谷本の奴隷になって玄関前の掃除を怠っていたので、雑草が生え、表から
吹き込んだゴミや塵が溜まり、そのままにしておけなくなっていた。
そんな友美に垣根越しに隣家の奥さんが話し掛けて来たのだ。
悪い人に捕まったと友美は思った。
隣人だがこの杉田夫人は正直苦手だ。
年は四十代で一回り離れている。
俗っぽく噂好きでいつも近所の奥様方と群れていて、よくその仲間に
誘われるが、人付き合いの苦手な友美は避け続けて来たのだ。
「ほら商店街にペットショップがあるでしょ、友達の奥さんがそこで
痴女に遭遇したらしいのよ。
変なオヤジが一緒だったらしいんだけど、何とその女、お店で真っ裸に
なって犬みたいに這い回ったらしいわ」
友美はギクリとした。
自分のことに間違いない。
家の中に逃げ込んでしまいたい友美だったが、杉田夫人はさっさと門の
方に回り込んで友美がいる玄関前まで入って来た。
「ほら見て…友達がその時写した写メを送って来たの」
杉田夫人は自分のスマホを友美に見せた。
(あぁ…)友美は思わず目を背けた。
首輪をしてチンチンした全裸の女は確かに友美自身だ。
真ん前から撮影し、乳房も恥毛も無い股間が写し出されている。
『パイパンオマンコ犬』の文字も鮮明だ。
友美は思い出した。
ペットショップで犬になった時、2人連れの主婦がいたことを。
よりによってその主婦が隣人の杉田夫人の知り合いだったとは…
友美の額から汗が噴き出す。
「ほら見て…ここ、『池野友美27歳人妻』とか『谷本様のマゾ奴隷』って
書いてあるの…」
友美の膝はブルブル震えている。
「ね、こっちの画像は背中から撮ってるんだけど住所も書いてあるのよ。
○○台×丁目×番×号って友美さんの家でしょう?」
「ち、違う!私じゃありません!」
友美は思わず大きな声を上げてしまった。
「どうしたの?そんなに声を荒げて…誰もこの女が友美さんだなんて
言ってないのに…」
杉田夫人はそう言いながらも友美の反応を確かめているようだ。
「ほら、この顔と来たら完全にイッちゃってるわ。清楚でお淑やかな
友美さんとは全くの別人じゃない」
舌を出し、だらしなく開けた口から涎を垂らし、細めた目は宙を
さ迷って、完全に逝く間際の顔だ。
ただ撮る側も慌てていたらしく額から上がフレームからはみ出し、
人相は曖昧だった。
「でもねホント悪質だと思うのよ。だって友美さんの名前を騙って
住所まで書いて猥褻行為に及んでるのよ…
何も知らない男がこれを見たら勘違いして、友美さんを襲っちゃうかも
知れないわ…警察に訴えた方が良いんじゃないかしら?」
ジワジワと友美を追い詰めるような杉田夫人の申し出に友美は身震いした。
警察なんかに訴えたら、やはり画像の主が友美なのだと突き止められてしまう。
「友美さん、私がついて行ってあげるわよ。こんな悪質な女を野放しにしたら
町内の治安も悪くなっちゃうわよ」
「い、いえ…いいんです…き、きっとこの女性も悪気があってのことでは
ないでしょうから…け、警察だけは…やめて…」
「ふぅ~ん、そうなの…?だったら無理にとは言わないけれど…
でも友美さんって結構犯罪者に寛容なのには驚いたわ。
ウフフ…この写真の女って案外友美さんの身近な人なのかもね」
杉田夫人はすでに底意地の悪い笑みを浮かべている。
「それにしても今日は暑いわ…友美さんもずいぶん解放的だわね」
不意に杉田夫人が話題を切り替えた。
「えっ?…」友美に不安の色が浮かぶ。
「そうよね…ブラとか暑苦しいものね」
慌てて友美は胸を隠した。
ワンピース姿の友美はノーパンノーブラだった。
谷本から家でも下着の着用を禁止されているのだ。
ワンピースは無地の薄い素材だった。
胸に乳首が透けているのを杉田夫人は見逃さなかったのだ。
「あら、もしかしてパンツも穿いてないの?」
これだけ薄いと下着の線が浮かぶのが当り前なのにそれが無いことに
目ざとく気がついたようだ。
「クスクス…いくら自宅でも気をつけた方がいいわよ。
ほら、さっきの写真を見て押しかけた勘違い男にレイプされちゃうかも。
でも変態女に理解がある友美さんならそういうの望んでるのかしら?」
杉田夫人のねちっこい詮索に耐え切れなくなった友美は、
「いけない、お鍋を火に掛けっ放しだったんだわ…そ、それじゃ失礼します」
と言い置いて逃げるように家の中へ駆け戻った。
「ふ~ん…やっぱりね…面白くなって来たわ」
残された杉田夫人は底意地の悪い笑みが浮かべて、そう呟いた。
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