(2)
仕事中……。主任が、内線電話を取った。
「はい……。はい」
その主任が、俺の顔をチラッと見て続ける。
「大丈夫です。案内して下さい」
そう告げて、電話を切った主任。まさか! 思ったとおり……。
「あなたに、お客様よ」
席を立った主任が、俺を促す。
「えっ? もしかして……」
不安そうな俺の問いに、主任は笑顔で返す。
「そう。ロアンさんよ」
やっぱり、ベトナム女のロアン……か。
「俺、都合が悪い……ってことで」
縋る俺だが、主任は笑顔で追い詰める。
「駄目よぉ。もう、OKしちゃったんだから」
先輩ふたりも、俺を追い詰める。
「韓国人粛清連合の一員だろう? しっかり、務めを果たして来い」
「こっちの仕事は、俺たちで片付けておくから」
主任が……。
「ほら。行くわよ」
俺の背広の袖を掴んで、歩き出した。
「仕事中に脱け出して、みんな変に思いますよ」
俺の訴えにも、主任は笑顔で返す。
「大丈夫よ。韓国人粛清連合が、お偉方に話を付けてあるから」
な……、何だって! 否応なしに、会議室に連れ込まれた俺。そこには、ベトナム女のロアンと、彼女のサポート役である中東男と東南アジア男が、既に案内されて待っていた。
「ご免なさいね。お仕事中に……」
「その気持ちが少しでもあったら、もうここに来るな!」
笑顔で言ったロアンに怒鳴り返した俺だが、彼女の笑みは崩れない。主任も……。
「まあ、まあ。いいじゃない」
笑顔で丸く収めてしまった。ロアンが、俺にファイルを手渡す。
「今回懲らしめる、韓国女よ。通名なのかコードネームなのか、分からないけど。ムクゲ・メグミ……という呼び名で通っているの」
写真を見ると、閉経前後と分かるババアだ。
「何、やっていたんだ? このババア」
俺の問いに、ロアンは説明する。
「韓国の財閥や官僚にコネを多く持っていて、大使館に勤めているの。強姦や殺人などの罪を犯した韓国人犯罪者を韓国に逃がすことを、仕事にしているのよ」
「絶対に……、許せねえな!」
俺の言葉に、ロアンは笑顔で返す。
「でしょ、でしょ? 今、捕獲班がこの女を捕獲して、ある場所に監禁してあるの。あなたのお仕事は、この女を懲らしめて、駆除班に引き渡すこと」
話は、分かった。
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