4.北の大地にに鷹は舞い降りた。
警官の放った一言は、「その鬼子は間諜です!」だけでしたが、里美を拘束するには充分な一言でした。
3人の醜い中年豚は、入れたばかりの怒張を引き抜くと、そのまま床に里美を抑えつけました。
中ボス署長が部下の警官に手伝わせて、全裸のままの里美を縛り上げている間、田舎ボスが中ボス局長に、私を拘束するように怒鳴りつけていました。
尻に火が付いた独楽鼠のように、服を羽織るのもそこそこに、中ボス局長が扉を出て行くと、下着にガウンを羽織った田舎ボスが、怒りに燃える両眼を里美に向けました。
中ボス局長が、真っ青な顔で戻ってきたのはそれから間もなくの事でした。あの政治将校姿の職員氏も、夫と一緒に出掛け所在不明だと、田舎ボスに報告しています。
国境の町で、士官が率いる武装した兵隊の一団が、日本のスパイと一緒に消えたというだけで、田舎ボスの責任は重大です。
頭の天辺から、赤くなったり青くなったりした田舎ボスは、手下に命じ、里美をこのホテルの地下に連れて行きました。
ツンドラを刳り抜いて構築された、天然の冷凍庫ともいえる極寒の地下室です。屋内で風は無くとも、マイナス10度近い寒さです。
後ろ手に縛られた里美に被せられたカーキ色の軍用綿入れコートの下は、素足にハイヒールと、ボロボロの上下のジャージだけが、裸の上に身に付けた美里の防寒着の全てです。
軍用コートを脱がされたら、30分もしないうちに、重度の凍傷と低体温症状で、手足は腐り落ち、命も奪われる事になるでしょう。
無駄とは知りながら、儚い抵抗をする美里から、警官達がコートを奪うと、田舎ボス自らが、厨房にありそうな、大きな黄銅の薬缶から、お湯を里美の足元に注ぎます。
湯気を出しながら床を濡らした湯は、あっという間に冷え、丸い氷の踏み石を作りだして行きました。
氷点下の世界で、最も恐ろしいのは、衣服が濡れる事です。
空気は優秀な断熱材なので、肌と服の間の空気が断熱しているのですが、衣服は濡れた部分が凍りつき、たちまち体温を奪って行きます。
湯の飛沫が、ジャージのズボンに飛び散りました。「ひゃぁ!」凍傷火傷が斑点のように下半身に広がっている事でしょう。
「お前は、誰の指示でここに来た!?」
「夫について来ただけです。」
「首都指導部の、誰に言われたか聞いているのだ!言え!誰の命令だ。」
「知りません。・・・あの人は捕まったの!?」
「もうすぐ会わせてやる。」
基地では既に武装警察一個中隊が、完全武装で夫たちの戻りを待ちかまえていると、先程中ボス局長が、田舎ボスに報告していたので、強気なのでしょう。
「今、言えば、亭主たちを殺したあと、お前の命だけは助けてやろう。
凍傷で四肢は失うかもしれないが、ダルマになっても、私達の性玩具として生かしておいてやる。」田舎ボスが、残忍な本性を剥き出しにした顔で凄みます。
「知らない事は、答えられないわ。」
「白を切っていられるのは、今のうちだぞ。どらぁ、指の感覚が無くなってきたろう。」
先程まで、切るような冷たさを感じていた里美の指は、既に立っている感覚さえ鈍く感じなくなってきていました。
しかし、幸運な事に、田舎ボスは、里美自身の履いて来たハイヒールを、里美に履かせていました。
特殊素材に発熱樹脂がサンドイッチされた構造で出来た中敷きが施された爪先部分が、
里美の足の指先を、破壊的な冷却から、辛うじて守っていましたが、それも、何時まで保つか判りませんでした。
しかし、この危機的状況にあって、里美は自分の肉体が破壊に晒される危機感に生じた快感と、
四肢切断された肉塊玩具として扱われる、変態的な人生への空想と期待に興奮し、乳首が勃起していました。
もっとも、この寒さでは、あそこの水分も忽ち胡散霧消してしまい、女陰が濡れている暇は有りませんでしたが。
丁度その頃、私達、否、私を除く、職員氏とその部下の1個分隊は、基地の武装警察中隊と銃口を向け合い、睨み合いが続いていました。
個別の練度では、寄り抜きのエリート部隊である職員氏の部下が圧勝していますが、国境警備を兼ねる東北部寒冷地の武装中隊の体力と、10倍近い数の差は、
総合戦力的には、双方拮抗していると見て良い状態でした。
しかし、職員氏の部下から連絡が入った首都の部隊では、直ぐに首都防衛基地から抽出した機材を使って、空中強襲部隊を緊急発進、急行させている事でしょう。
一昨年のクーデター未遂事件の時は、首都治安維持部隊から編成した、1千人超の特殊部隊が、地方政府庁舎と某国大氏館の周囲に空挺降下したとも言われています。
この辺境の町まで、S-VTOL機で約4時間。それまでの時間稼ぎが必要です。
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