16.三角木馬か吊り手錠十字架か悩む
東京近郊の観光都市の繁華街に、馴染みの工務店を里美と訪ねました。
通された応接セットに、奥から出てきたのは、久し振りに再会した昔の仲間。
十代の終わりから二十代に掛けて、バブル時代を共に謳歌したヤンチャ坊主も、すっかり落ちついて白髪頭です。
鬼畜友達なので、「鬼友」とでも呼んでおきましょう。
私「よ!」
里美「里美です。」
鬼友「お、新しい彼女?これから俺とも仲良くしてよ~。」(軽い、相変わらず軽すぎるノリです。)
お互い、穴兄弟の間柄なので、妻に妙に馴れ馴れしいのも致し方ありません。
私「カミさんだって。あのな、新居にこんなの付けたいんだけど、頼めるか?」
簡単なラフですが、三角木馬と吊り手錠十字架のサイズ指定図面を見せました。
鬼友「何だってOKだよ。で、いつまでに用意する?」
私「それより、幾らぐらい掛かる?」
鬼友「まぁ、このぐらいかな。」(電卓を叩くの早!)
私「高けえよ!このぐらいにしとけよ。」
鬼友「それなら、どっちか一つだな。」
私「ふざけんな、高すぎだよ!」
鬼友「安いよ!何だったら負けといてやるから、カミさん貸せよ。」
里美「え、わたしですか・・・。あの、私、おもてなし、したほうがいいですか?」
私「いや、こいつ客じゃないから。客はこっち。」
鬼友「じゃ、負けない。」
里美「いえ、私、嫌じゃないですから。おもてなししますから、お安くお願いします。」
鬼友「いいねぇ。ノリのいいカミさんじゃん。安くしておいてあげる。連絡させてね。」
(おい、何、携帯出してんだよ。)
私「ところでさぁ。この後、ハプれる店に行くんだけど、どこかいい店知らない?」
鬼友「あ、彼女そういう趣味も判ってんだ。いいねぇ。ますますイイ。イイ店あるよ。すぐそこ。」
里美「あの、ハプるって?何ですか?」
鬼友「ああ、いろいろ楽しいハプニングが起きるって事。判ってないじゃん。」
私「里美は、全然スレて無いんだよ。」
里美「勉強中・・・です・・・。」
鬼友「おじさんがイロイロ教えてあげる!」
私「間に合ってるよ。」
鬼友「それならさぁ、これ、両方一遍にじゃ無くて、一つずつにしたら?」
私「一つでも安くしてくれるなら、それでも良いけど。」
鬼友「じゃぁ、どっちにする。里美はどっちがいい?」(やい白髪頭!馴れなれしいんだよ!)
里美「私、何に使うか今ひとつ、よく判ってないのですが。」
鬼友「え~、本当?こんなどスケベの変態と結婚するのに!」
私「誰が変態だ!お前だってエロ変態だろ!」
鬼友「お前に敵うほど変態じゃねえよ。里美さんも知ってるよなぁ。」
里美「・・・はい。物凄くエロいです。」
鬼友「こいつに、変なことやエロいこと、させられてるでしょ?」
里美「いつも・・・させられてます。」
鬼友「今度から、おじさんが守ってやるから、安心しな。」
里美「はい、お願いします。」
私「はい、じゃね~!」
里美「すみません。」
旗色が悪くなってきたので、新居の事に話題を変えてから、また連絡するからと鬼友の店を出ました。
教えられた店に向かう途中、三角木馬か吊り手錠十字架か悩む自分が、おかしくし思えました。
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