夫を亡くし、残された幼い二人を育てるために、働き口を探していた私に、手を差し伸べてくれた社長に対する、聞くに耐えない花井さんの話しぶりに、私は怒りに震えながら、花井さんを睨みつけるような目で見ました。私の様子に気づいたのか、花井さんの、サングラス越しに見える目が、一瞬鋭くなり、何か私に迫るような威圧感を感じ、私は背筋がゾクゾクしました。
この人を、あまり刺激しない方がいい…
私は、身の危険すら感じて怯え、頭にのぼっていた血の気が、すぅっと引いて、
冷静さを取り戻しました。すると、花井さんも、先ほどのいやらしい目つきに戻り、また私に話しかけ始めました。
「…あんた、なかなか物分かりがよさそうで、ワシも安心したよ。ところであんた、オトコはいんのか?」
仕事には全く関係のない、プライベートなことを、悪びれる様子もなく、平然と私に聞いてきました。
「えっ!そ、それは仕事とは全く関係ないことだと思うんですけど?」
私はあまりの唐突な、有り得ない質問に、少し詰まりましたが、答えずに突き返しました。
「…まぁ、いいだろ。いずれイヤでもハッキリするだろうし。…それじゃあ、最近はセックスしてるのかね?」
私を逆撫でして煽るように、花井さんはさらに有り得ない、もうセクハラと断言できるような質問を口にしました。私は怒りを通り越し、半ば呆れ果て、言葉を失いました。この成金男は、単なる暇つぶしに、初めから出す気もない大金をちらつかせて私を呼び出し、セクハラまがいのことをしてからかい、弄ぶだけ弄んで、私が怒って自分から話を断ったとしているに違いない、と思いました。
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