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投稿者: 富美代
彼からの電話で、夕飯を一緒に食べないかと、昼間の出来事があまりにも唐突で自分でもまだ信じられずにいた私は、恐る恐る彼に、夜ご飯をうちで一緒に食べないか、と尋ねると、彼は嬉しそうに答えてくれました。私は、嘘でも、夢でもなくて、現実であることを改めて感じ、
急いで夕飯の支度をしながら、彼の帰りを待っていました。あの悪夢の夜と、司と香に呆れ果て、三行半を突きつけられて、一人取り残された私にとっては、私を必要とし、側に一緒にいたいと言ってくれた谷本くんの優しさと、長い間、親子ほども歳の離れた、太ったおばさんの私みたいな女へ、密かに想いを寄せてくれていたことへの誠実さに、私は年甲斐もなく、恋心を抱き胸を弾ませていました。別に、肉体関係を求めているわけではなく、精神的に安らげる場所があることに、この時の私はこの上ない喜びと安心感を感じていました。

しばらくすると、玄関のインターホンが鳴りました。私は手を止め、急ぎ足で玄関の扉を開けました。そこには、にこにこした彼が立っていました。

「お帰りなさい。あら、やだ!私ったら…いらっしゃい。」

私は思わず、彼に対して、もうすっかり彼女気取りになって、「お帰りなさい」
と言ってしまったことに恥ずかしくなり、顔が熱くなりました。彼はそんな私を見ながら、照れくさそうに、いつものようにはにかんでいました。

「ただいま。どうしたんですか?そんなに真っ赤になって?何かおかしなことでもあったんですか?」

彼は、私が顔を真っ赤にしてる理由がわかっていながら、ワザと意地悪な質問をしながら、間近で私の顔を覗きこむようにして、ニコニコしながら私を見つめてきました。私は更に恥ずかしくなりました。

「い、意地悪言ってからかわないで!もうっ!…年甲斐もなく浮かれてるみたいで…恥ずかしいわ…。」

「歳なんて、そんなの関係ないですよ。仕事の時とは違う、そんな富美代さんも好きですよ。」

私はいてもたってもいられず、彼の手を引き、玄関の扉を閉めると、彼に抱きついて、顔をうずめました。恥ずかしさを隠すのもありましたが、嬉しさを抑えきれずに、彼に甘えるようにしがみついていました。彼も私の大きな背中に腕を回して、ぎゅっと抱きしめてくれました。

「…富美代さん。」

彼の優しい声に顔を上げました。彼は少し下を向くと、唇を重ねてきました。私も目をつむって、彼に身を委ねるようにして、しばらくの間、そのまま濃厚なキスをしました。そして唇を放して目を開け、彼と目があうと、リビングの方へ一緒に行きました。彼の上着をハンガーにかけて椅子に座らせると、私は大急ぎで張り切って作った料理を、テーブルに並べました。残業が多くていつも帰りの遅い彼には、私の作った料理が、久しぶりに田舎へ帰った時のような、おしゃれではないけど、ほっとする懐かしい家庭の味のように感じたのか、美味しいと喜んで食べてくれました。

「そうだ。娘さんと息子さんはどうしたんですか?まだ学校から帰らないんですか?突然、僕がお邪魔してたら、びっくりしますよね?」

私は、心臓が止まりそうになりました。
彼の言う通りです。いろいろと談笑していて気がつきませんでしたが、もう20時をとっくに過ぎていました。普通なら、いくらクラブやアルバイトがあるとしても、もうそろそろ帰宅してもいい時間です。しかし、香はもちろん、中学生の司も、クラブはもちろん、ましてやアルバイトで帰宅していないのではなく、
恥ずかしい母親の私に嫌気がさして、家を出たまま、帰ってないのです。私は言葉につまりました。

「どうしたんですか?僕、何かヘンなこと言っちゃいましたか?」

「い、いえっ!ち、違うのよ。あの子たち、二人とも、友達のところに泊まって、勉強会するんだって…私たちの頃と違って、今は勉強も難しいから…。」

「そうなんですか。大変ですね。…実は、内心、子どもさんたちがいたら、どう接したらいいか…正直わからなて。お二人の子供さんたちも難しい時期でしょうから、僕が富美代さんの彼氏だっていう雰囲気を感じ取ってしまったら、富美代さんとお子さんたちが、ギクシャクしないか気になって…。あ、すいません、勝手に盛り上がっちゃってますよね…。」

申し訳なさそうに気づかう彼に、私は申し訳ない気持ちと、絶対に気づかれてはいけないという気持ちになりました。

「そ、そんなことないわ。…わ、私も…嬉しいよ。それに、あの子たちももう大人なんだから、あなたのこと、悪いようには思わないと思うわ。だ、だから、あまり気を遣わなくてもいいのよ、ありがとね。」

冷静な素振りでそう返すのが、私にはやっとでした。そして、話題を何とか香と司のことから逸らそうと、

「と、ところで谷本くん…、花井さんのところは、本当に大丈夫だったの?花井さんにヒドいこと、言われなかった?」

と、私が花井さんのところで勤務することへ変えました。

「何とか時間にも間に合いましたし。それに、富美代さんと明日にでも…と言われて、僕が「今週は体調を崩してて休んでますから…」って言った時、一瞬花井さんの目つきが鋭くなって、自分でも、「あ、しまった!」って思ったんですけど、すぐに普通の表情に戻りました。だから、大丈夫ですよ。」

「それで、花井さんは何て?」

「それが、何か妙に自信ありげに、「明日にでも、私が直々に連絡すれば、きっと富美代さんは、何とか都合をつけて、話をしたいというハズだから、何も君が気を揉む必要はないんだ、ハッハッハッ…」って、得意気に笑ってました。相変わらず傲慢で、自信にあふれていましたよ。」

「それならよかった。あなたがヒドいコトを言われてないか、それだけが気になって。花井さんからすれば、遅かれ早かれ、私が花井さんのところでお世話になるって、私自身が言っているし、私には選ぶ余地がないのもわかっているでしょうから…個人的には好きな人ではないけど、仕事をするだけなんだから。私は行った先で、与えられた仕事をに、自分ができることをすればいいだけだから。」

「しっかり者の富美代さんのことですから、花井さんにどやされるようなミスもしないでしょうし。…でも、今までみたに、毎日側でいれなくなるのは…やっぱり淋しいです。」

「何親離れできない子供みたいなこと言ってるの!仕事は仕事。私がいなくなっても、あなたなら十分、私の分までやっていけるわよ。ちゃんと引き継ぎはしてあげるから。…仕事の引き継ぎ…って理由があれば、会社を出たあと…うちにも来やすいでしょ?」

「えっ!?」

「…っもぅ!…これ以上、…女の私に言わせないでっ!」

「はっ、はいっ!」

「…そ、それと…こうしている時は、私は上司じゃないんだから…あまり堅苦しくしないで。…『さん』づけは止めて。」

「じ、じゃあ…『富美代』って呼べばいいですか?」

「それと…『てす』『ます』もいいから…気軽に話して…。」

そう言いながら、私は顔がまた真っ赤になりました。

「…ふ、富美代…って…呼べばいい?」

私は俯いて首を縦に振ると、席を立ち、
彼に背中を向けました。

「…やだ、…も、もうこんな時間…。
…時間…まだ大丈夫なの?」

「だ、大丈夫。…も、もうそろそろ帰った方がいい?」

「…わ、私は平気。あ、あなた、明日また早いんでしょ?…仕事、忙しいんだから、早く身体…休めないと。…子供たち、今日は帰らないから…」

「えっ!?」

「…今から、お風呂沸かすけど…」

「で、でも…着替えが…」

「…こ、今晩、洗濯して干せば…あ、朝には…乾かくでしょ?」

「…そ、それって…」

「もうっ!バカっ!」

私は風呂場所へ行き、浴槽を洗いました。私は、もう年甲斐もなくドキドキ胸がときめいている自分を、抑えることができなくなっていました。いえ、それ以上に、この甘く、女として満たされた幸せな時間が終わり、また一人この静まり返った中に取り残されたら、その反動で
再び悪夢に襲われたり、変な気持ちになってしまう自分が怖くて、夜、彼に横で寄り添ってもらいたい気持ちの方が大きかったと思います。私がお風呂を洗い流していると、

「…今晩、と、泊まっていい?」

と、恥ずかしそうな小さな声にで、彼が後ろから言いました。私は、少し振り向いて、首を軽く縦に振ると、浴槽をシャワーで流し、お湯をためました。お風呂ができるまで、もう少しリビングでゆっくりくつろぐように言うと、缶ビールを出すと二階へ上がり、寝室を整えました。そして、クローゼットの奥の方へしまってあった、夫が着ていた着古したパジャマを出すと、それをもって下へ降りて、脱衣場へ置きました。

「…サイズが小さいかもしれないけど、…着替え、出してあるから。」

と、ビールを飲んでいる彼に声をかけました。しばらくすると、お風呂にお湯がたまりました。先に彼に入らせ、彼が終わった後に、私は入りました。私は
お風呂から出ると、彼の下着やシャツをタイマーで乾燥まで終わるようにセットすると、彼を寝室に案内しました。二人が帰ってくるかも知れませんが、私は玄関が開かないように、扉にフックをかけて、二階へ上がりました。

一つしかない狭いベッドで、私と彼は身体を寄せ合いながら、横になりました。
悪夢はよぎりませんでしたが、ドキドキ興奮する私はなかなか寝つけませんでした。彼もやはり落ちつかない様子でした。二人で目が合い、しばらく見つめ合っていると、どちらからともなく、唇を重ね、舌を絡ませ合っていました。私は、お尻のことはありました。新しいタンポンを詰め替えてあるので、多少は漏れにくくなっていました。


※元投稿はこちら >>
12/11/05 04:39 (qo9KPk/K)
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