すべての思考が停止し、自分が何処に居るのかさえ把握できず。
ただ、牡の本能だけが、活発に活動する。
体温は上昇し顔は紅色。目はうつろに、宙をさまよい。
腰は、射出先を探し求めて前後に振りはじまる。
もはや、理性の歯止めが利かなくなった誠司には、行く付くところま
で行かねば、治まりが効かなくなっていた。
満員の車内で、快感と言う海に溺れる誠司が、いまだ発見もされない
のは幸運か、はたまた偶然か。
都会の他人の事は、見て似ぬ振りが成せる業なのだろうか。
股間の幹は、最大膨張し鋼の如く硬度をました。
あふれ出る先走りは、もはや留まるところを知らず。
快感の波は、津波のように何度も押し寄せた。
精巣では、我が先にと種たちが射出のタイミングを待ち望んでいる。
本来ならば、卵を追い求め元気に飛び出すはずなのだが。
ガッタン!キィー!!
一定のリズムを刻んだ満員電車が、停車駅の手前でブレーキを掛けた。
と、同時に車内ではバランスを崩した乗客たちが、隣の乗客にもたれか
かりバランスを保とうとする。
誠司の背中を誰かが押した、腰が突き出されるように。
長かった快楽の苦痛から、そのタイミングを待っていたかのように。
いま、開放される!牡の雄叫びとともに。
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