ついに!また深夜の外出を確認したのであった。 またもや浩一は、ひたすらに女装娘の帰りを淡々と待ち構え、窓からしきりに駐車場を眺めていた…浩一は2年間コンビニ勤務の不規則な生活を送っていた為、夜遅くまでは得意であった。しかし、住人に女装期待をしてからというもの、それに拍車がかかったのは言うまでもなかった。 マンションは駅からは離れた立地にある為、仕事にも車で向かっているとは思われるが、数週間浩一が見ている限りではターゲットたる女装娘もかなりの不規則な生活を送っているのが見受けられる〈営業か何かか?でもスーツを着て出かけるのは見たことないし…以前の俺と同じようにコンビニか何かか?学生にしても…〉浩一の考えではターゲットの女装娘の仕事先を探りあてるのは必須条件であったが、安易に尾行等して不審がられるのは避けたい為、現段階では確認が取れていなかった。 寝ずの生活には強いつもりであった浩一だが、結局その日は女装娘の帰りを待つことが出来ずに寝てしまうこととなる。浩一が目覚めると女装娘の車は駐車場にぽつんと止まっていた。 〈畜生、失敗したな~〉 ただ、そんな浩一に悪魔は微笑んでくれたのである。後悔の念がさめやらぬ、その日の深夜、またもターゲットの女装娘が外出したのである。外出時は昨晩同様ジーンズ姿であるが、日付が変わるか変わらないかのこの時間に浩一は、もう確信しかなかった。〈結局、昨日は何時に帰ってきやがったんだ…まぁ、いいさ。今日は何時間でも起きててやるさ。それに今日は…〉
実は数日前、浩一はK氏に教えてもらい東京の秋葉原まで出向いていた。途中K氏と連絡が取れないトラブルに見舞われたが、防犯用途のカメラを二台とコンクリートマイクというもの、それにボイスチェンジャーを購入した。一つの店では不審がられると思い、数ヶ所巡り教えてもらったものを買い込んだ。〈思った以上の出費だなこりゃ。もう後には引けないな。まっ、もとよりそのつもりだけどな。まっ、いいさ後でたっぷり回収するさ〉
買い込んだ品は、部屋で取扱書とにらめっこであった。取扱書を熟読し、ようやく扱いを覚えた浩一はマンションロビーにビデオカメラを設置する場所も既に見つけていたのである。 2日続けての外出に、浩一は車が駐車場から出ていくのを確認すると、マンションロビーに向かった。 浩一の住むマンションは入口を開けて左手に各部屋の郵便受けがあり、その奥には名ばかりの管理人室がある。入口を入って正面から郵便受けの向かいまで宅配BOXが設置をされている。今まで二年間も住んでいながら活用した事など無かった浩一だが、ほとんどのBOXが埋まっているのには驚かされた。幸いにも昨日の失態を悔やんでいたその日、入口から正面に位置するBOXがようやく空いており、浩一は空のままとりあえずそのポジションを確保しておいたのである。
日昼確保しておいた、そのBOXにカメラを設置。高さ的にも丁度入口から入ってくる様子がはっきり撮れるはず。BOXの窓一枚通してだが、撮影できるのは他のBOXで既に確認済であった。
その日は二時間程でターゲットの車が駐車場に入ってきた…前回に続き二度顔合わせすると、まずいのと今日はカメラ仕込んでる期待から部屋で待機するつもりでいた。案の定車から降りたターゲットはウィッグにスカート姿!!浩一はその後、部屋の前を通りすぎる足音を待っていた。
暫くして、部屋の前をコツンコツンという足音の後、ドアの開けしめの音。
浩一は期待に胸を膨らませカメラの回収に向かう。回収した後も絶好のポジションであろうBOXは空のまま浩一が暗証番号を入れ鍵をかけておいた。
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