めくるめく官能世界に程遠く
「ただいま、ふう、あなたの居る家が一番落ち着くわ」
「はい、お茶」
「ありがとうございます、やっぱり美味しい、ところで、学園祭デート如何でしたの」
「うーん、まあ」
「うん、まあ、じゃ、わかんないじゃない、何かありまして」
「それが、そのう・・・寝てた」
「へ?」
「いや、だからね、学園祭は行ったんですよ、でね、まいさんとダンス会場へ行ったん
ですよ、それでね、眠くなってね、横に居たまいさんを柔らかマットの代わりにしてね、
イビキかいてね、寝てしまってね・・・これって、やはり、デートの失敗しょうかね」
「ぷ、なにそれ」
「まいさんは、僕が倒れないように、辛抱強く横で体を張って支えて、腕がしびれて」
「あらあら、それで、まいさんは大丈夫でしたの」
「うん、それは大丈夫だった、みたい」
「みたい、って、ふつう、さすってあげたりとかしません?」
「だって、周りはチェックが厳しい女性軍団だよ、やたらめったら触れないでしょうよ」
「ふーん、あっそ、それで」
「門限まで時間が中途半端だったものだから、カラオケを諦めて家でラジカセ使って歌
を歌っていた。まいさん、歌が上手いから、まゆさんも一度聴いてみるといいよ」
「そうね、機会があれば、みんなでカラオケしてもいいかも」
「それで翌日、まいさんが機転を利かせ、家の掃除・洗濯をしに来てくれて助かった、
とまあ、こういうことでありましたのです、以上報告終わり」
「要するに、デートの失敗を穴埋めするどころか、彼女をこき使ったと、そういうこと
なんですね」
「いや、こき使った覚えはないよ、洗濯するしないで、部屋で運動会はしたけどね」
「あなたご自身、ご自分らしくないとお思いになりません?デートが失敗したら、何か
で取り戻そうとなさるのが、あなたらしさではないのかしらね、これでは、まいさん可
哀そうよ、あんまりだわ、あなたは女性を知らなすぎます、ズバっとした物言いではな
くて、もっと、こう何ていえば言いの、絹糸を織り込んだ心とでも言えばいいのかしら、
女性から見て、琴線に触れるような応じ方をされたほうが宜しくてよ」
「そんなこと言われても、女性から金を巻き上げる手練手管のホストじゃないんだから」
「それじゃあ、まいさんがどうなっても構わないとおっしゃりたいの」
「そんなこと一言も言っていないでしょうに、あー、もう、分かった、まいのセックス
レス彼氏として、彼女に本命が現れるまで、今後も役目を引き受けますよ」
「えっ」
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