めくるめく官能世界に程遠く
「独り暮らしのおばあさんがね、ご自分の家に来て、話相手になって欲しいですって」
「ふうん、まゆさん、ずいぶん好意を持たれたんだね、おばあさん、淋しいからだと思
う、長年の経験を学び吸収するチャンスだろうね、でも、家族の愚痴っぽい話が出たら
要注意、『そうだそうだ』と同調したり、たしなめたりしないで、ただ頷いているか、
それとなく話をそらしたほうがいいですよ」
「そうね、せっかく貴重な経験を聞かせて頂けるのですものね、私もそう思うわ」
「まゆさんは何でも飲み込みが早いから、僕はほんと楽」
「あなたのいう『自分は自分』が少しわかってきたような気がしています」
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