めくるめく官能世界に程遠く
「まいさんが、赤ん坊に関わる仕事をしたいからと、理系コースに残ったそうなのだけ
れど、まゆさんは彼女の進路選択をどう思う」
「赤ちゃんに関わる仕事といえば、医師、看護師、保育士でしょ、まゆさんはとても頭
の良い女の子ですもの、医師や看護師などの医療系が向いているのではないかしら」
「まいさん自身は小児科医になりたかったけれど、偏差値が足りないとかで、迷ってい
るようなんですよ」
「本当にそうなのかしら、医師になるにはお金と時間が掛かりますでしょう、もしかす
ると、ご両親の負担も考えてのことなのではないかしら」
「ふーむ、お金ねえ」
「あなたは経済的心配と無関係のまま、ここまでストレートに来られた人ですもの、ピ
ンと来ないんでしょうね」
「いやにはっきり言ってくますね」
「だって、事実そうなんですもの、きっと、お金は天から降って来ると思っていらっし
ゃるんだわ」
「ふふ、そんなことはないですよ、でも苦労知らずなのは、まあ確かかも」
「私の心配はまいさんでなく、あなたです、無駄遣いしないのはよいとして、お金音痴
はねえ」
「はは、お金音痴ね、さすがまゆさん、いい得て妙」
「私はあなたをナデナデしているんじゃありません、あなたを畳針で刺している気分な
んですぅ」
「うわー、イッタそう」
「もうすこし、真剣に考えてくださらないと」
「はい、そうします、でね、まゆさん、Zの修繕費なんですけれど、細部まで直すと
200万以上掛かるんですよ」
「なんですって」
「いや、ですからね、まゆさん、あのう、まゆさん、もしもーし」
「急に耳の聞こえがわるくなったわ、さっ、ご飯にしましょ」
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