第15章 - イリプレイサブル
その夜に夢に現れたのは、まだ見ぬみほではなく、かおりだった。そして、その夢は一年前のかおりへの恥辱調教を忠実に再現していた。
郊外型ショッピングモールの開店時間とほぼ同時に到着し、矢のような速さで時間が経過した。かおりにとっては、経験したことのない辱しめの時間は長く感じたのか、短く感じたのか。
夕方の別れの時間は涙を流し、『1時間が60分しかない』ことを悔しがっていたから、結果的には短かったのであろう。
ショッピングモールのメインエントランスにある時計台の文字盤では、頂点で長い針が短い針を追い越したところだった。
「かおり、そろそろ昼にしようか?何が食べたい?」
「好き嫌いはございませんので、グレッグさまの召し上がりたいものをお選びください」
時間帯のせいもあるだろう、平日ではあるが結構な人手があるレストラン街の端にカジュアルなアメリカのレストランを彷彿させる店がある。壁にはラクロスやアイスホッケーのスティック、カヤックのパドル、ローマン・ロックウェルのイラストが飾られ、所々に置かれた観葉植物と共に店のアクセントになっている。
そして、ローラアシュレイかラルフローレンを思わせる花柄プリントのかおりのワンピースや紺ブレとチノパンの自分のスタイルとも合っていそうだ。
メニューから選んだのはコンビネーション・プレートだった、イタリアンやエスニックをいかにもアメリカ風の大皿に盛り付け、お約束のじゃがいもをベイクドかフレンチフライから選ぶと言うパターンだが味は悪く無かった。
「かおり、午前中の調教は楽しんでくれたか?おまえの想像、期待を上回っていたら良いと思う」
「グレッグ様こそ楽しんでくださいましたか?グレッグ様に喜んでいただきたくて無我夢中で」
「とても可愛いM女だと感じたよ。おまえの好きなビヨンセで例えれば『イリプレイサブル』だな。もちろん意味はわかるな?」
「嬉しい。本当に、そう思ってくださいますか?」
「ピアノの生演奏は想定外の思い付きだったんだ。それにランジェリーショップもね。。。。おまえが、同性の視線に感じたと言ってすぐに思い付いたんだ」
「そうだったんですか。あの時は、気絶するかお漏らしするか、どうかなってしまうんじゃないかと」
「どうかなってしまっていいんだよ、かおり。そのための調教なんだから。午後からも楽しみにしてくれ」
午後には、もっと辱しめを受けることへの不安と期待を両方感じさせる表情を見せながら、かおりは頷いた。
聖水を全身に浴びせ飲ませることは事前に宣言していたが、聖水とは言えば聞こえはいいが、興味が無い人間にとっては所詮オシッコだ。聖水への抵抗や嫌悪感を和らげるためにリハーサルを続けさせていた。
まず、浴びることの恥辱的な美しさを教えるためにブラを着けずに、白いブラウスを着たままシャワーを浴びることを命じ、その写真を撮らせた。写真は、感想を伝えることで更に効果的であった。
『生まれたままの姿に着たブラウスが、聖水を浴びることで素肌に張り付き乳房の形まで露にしてる。。。とてもセクシーだろ?それに張り付いているブラウスの生地を押し上げる乳首。本当は感じているんだろ?いつでも浴びせてやるぞ』
セルフタイマーで撮影したという写真は、『私ではないみたい』とかおり本人もお気に入りの様子だった。
そして浴びながら聖水を口に受け飲むことには、シャワーを浴びるときに、グラスに向けてオシッコをすることから始めさせた。グラスに採った自分の尿をソーダやレモネードで割って飲むことで慣れるように促した。
ブラウスを着たままのシャワーほどは速く効果は表れなかったが、グラスに向かって放尿する変態的な姿に恥辱的な気分を感じ、今では大きめのグラスなら溢さずに採取できるまでになった。
最初は、ほんの少しのオシッコと大量のソーダという配分であったが、一週間後には、グラスからそのまま飲めるほどになっていた。
アメリカン・レストランのドリンクメニューは大抵大きなグラスで出される。。。。大きな氷の塊が小さく溶けてしまった、かおりのピンクレモネードも例外では無かった。
そして、レストランを出る直前に、かおりに伝えた恥辱的な命令は、リハーサルの成果を見せるということだった。
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