第9章 - クラヴィーア
ワンピースの裾を捲り上げて、ひとしきり白桃のようなかおりの尻を撫で回すと、かおり自身の蜜たっぷりと絡み付けた小指を後ろろ花弁に潜り込ませる。
指先の蜜のお陰で小指の爪までは何の躊躇もなく吸い込まれる。平日の午前で空いているとは言え公共の店舗の中で、花弁に指を入れられている自身の淫乱さに酔っているのだろう?冷静を装いつつも時折首を仰け反らせる。
ブラームスのCDの隣にはバッハのCDが陳列されている。陳列棚に身体を預けるかおりの正面だ?
「ヨハン・セバスチャン・バッハ。。。。好きなのか、かおり?それとも、ブラームスの前に立つ男の左隣に立たされアナルに指を入れられている女の前に偶然バッハがいるだけか?」
入店前には存在を把握していなかった男がジャズのコーナーから現れていた。店内にはBGMが流れ、意図的に聞こうとしない限りは会話の内容までは聞き取れないだろう。それでも『アナルに指』という表現に反応し、かおりの花弁がきゅっと絞り込まれたのが指先で感じられた。
「ミーハーと思われるかも知れませんが、『G線上のアリア』は素敵ですよね」
「そうだ、おまえピアノ弾けるよな?後で楽器屋があったら弾いてくれないか?」
「嬉しい、バッハのクラヴィーア練習曲集のパルティータをお聴かせします」
「それより、おまえも好きな『G線上のアリア』を聴かせてくれ、お礼に『Gスポット上のアリア』をお返ししてやる。楽しみだ」
かおりが弾くピアノの音色そのものも楽しみではあるが、どう弾かせるか?という楽しみがあった。
かおりの花弁の中に吸い込まれたままの小指を抜く前に、少し押し込んで見る。第一関節、第二関節と奥に吸い込まれと共に、陳列棚に寄り掛かるように立つかおりの身体が仰け反る。
潤ませた瞳で見つめながら小さな声で囁くように、新たな人物の登場を伝える。
「グレッグ様、女性が参ります」
「大丈夫だ、あの顔はショパンじゃないか?」
五十音順で陳列されるためショパンを含むサ行は、バッハ、ブラームスのハ行とは通路を挟んで背中合わせになる。執り行われている儀式に気付くことは無いだろう。
いざクラシックコーナーの通路に入ると、その女性はサ行を通り越し一目散にマ行の前で止まり、モーツァルトのCDを物色し始めた。
予想が不適中だったことが余程可笑しかったのか、アナルに第二関節まで指を入れられているかおりは眩しそうな表情で微笑みを見せる。
モーツァルトファンは購入予定のCDを見付けると即刻レジに向かった。
「ちょっと予想外だったな。モーツァルトが変態スカトロジストってことを知ってるのかな?」
従姉妹に宛てた手紙に『うんこ』を連発し、『あなたの鼻に糞をする』とも書くほどの変態だ。有名な手紙だから、かおり自信も知っていたようで、くすっと笑った。
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