「しない…」
素に戻った圭介は、ぶっきらぼうに言った
「もうしない…こんなおっさんに関わるな…帰るぞ。」
「やだ。」
「途中まで送ってくから、帰るぞ!」
「じゃあ、連絡先教えて。そのくらいいいでしょ?」
「聞いてどうするんだ?俺はエッチするつもりもないし、もう会うつもりもない!」
「じゃあまた立っちゃうよ、ここで。」
その言葉に思わず圭介は黙り込んだ。
そして藍莉は真剣な顔で、
「あんまりメッセージとかしないからさぁ…お願い…、ラインだけでも繋がってたいの…ねっ?お願い…」
少し考え挙句、圭介はスマホを取り出し、
自分のQRコードを開いた。
「やり方あんまりわからんから、やってくれ…」
藍莉は、やった!と言いながら登録をし始め、圭介にも藍莉のを登録する。
その間、「教えるだけだからな…電話もしないし、メッセージもやらないぞ…」
「はいはい、わかった、わかった。でも、たまにならいいでしょ?」
そして圭介は公園を出て、藍莉も後を追うように歩いていった。
歩きながら圭介と藍莉は、
「あれも…オプションなのか…?」
「あれって?」
「あの…1人でヤるやつ…」
「ああ、まあね。ほとんどの人、見るよりもヤる方が好むけど、たまにそういうの見た方が興奮する人も…」
「…ホントにやめるんだな…?」
「だぁ〜からさっきから言ってんじゃん、おじさん、しつこいと嫌われるよ〜。
あ〜あ、帰りたくないなぁ…ねぇ、おじさんんちに言っても…」
「ダメ!」
「早っ!」
そんなやり取りをしながら途中まで藍莉を送り、家に帰った。
藍莉は公園で言われた通り、電話はしなかった。メッセージをもっと送られるかと思ったが、送ってくることはなかった。
だが、たまに、
「おじさ〜ん、元気?また会いたいな」
「ねぇ、またエッチしない?」
「既読無視すんな!」
等、送られてきたが、圭介はほとんど無視していた。
ある日、圭介が外回りをしていると、また藍莉からのメッセージが入った。
「また来た…」そう苦虫を噛むようにメッセージを読んだ圭介は、その内容を見て固まってしまった。
「親にお金盗られた。許せない 今から殺すから」
思わず圭介は、
「何があった?」とだけ送った。
それからしばらく待ったが返事はなかった。
「お金取られた、って…殺す、って…」
圭介は最悪の事態も考えていた。
外回りの仕事が終わると、そのまま藍莉の家の方へ向かった。
実のところ、自宅はわからず、前に送った辺りを車で回っていた。
だか、藍莉らしき姿は見当たらなかった。
圭介はあることが思い浮かび、車を走らせた。向かったのは、あの公園だった。
公園の周りを回ったが、藍莉の姿はない。そして公園の前に路駐し、中を探した。
大きな公園の遊歩道にあるベンチに、藍莉の姿を見つけた。
藍莉は圭介に気付き、「おじさん…」と顔を上げたが、すぐ横を向いた。
藍莉に近づき、
「ちょっとこっち向け。」と、藍莉の顔を覗き込んだ。
その唇にはうっすらと血が滲んでおり、殴られた跡のようだった。
「殴られたのか…」
「…藍莉の…今まで貯めてたお金、全部取られて…」
「なんで…なんでそんな事を…」
「藍莉ね…」藍莉は、圭介から顔を背けたまま話し始めた。
「藍莉の親…2人とも今まで仕事続かなくて…だから、最初は普通のバイトとかして自分の物買ったり、生活費出したりしてた…でも足りなくて…」
藍莉は続けた。
「だからウリなんか初めて…親にバレたときは殺されるかと思ったけど…逆になんか余計にお金せびられるようになって…渡すお金が足りないと、時々…」
黙って聞いていた圭介が思わず聞いた。
「…いくら…盗られた…?」
「70万…」
「そんなに…」
「藍莉ね、卒業したら、ってか、できなくても東京とかに行きたくて…あいつらと離れたくて…なのに…」
圭介は、そんな藍莉を哀れに思ったが、どうしたらいいのか分からなかった。
優しい言葉の一つもかけることができず、ただ隣に座るしかなかった。
「おじさん…、なんかもう…力尽きちゃった、って感じ…もうやだよ…」
藍莉はそう言って、ボロボロと泣き出した
圭介はようやく、
「思い詰めたりするんじゃないぞ…」
そして、
「うちに…来るか…」
と言った。
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