どうやって復讐しようか?
希星を待ち伏せして、あいつの態度の悪さを責め、思い切り罵倒してやろうか。
いや、あいつは自分の言ったことを正義だと信じているから、逆に言い返されるだろう。
待ち伏せして殴る?僕と希星は同じくらいの体格だが、筋力なら僕の方が上だ。だが、口で責め立てられたことを腕力で返されても、希星のプライドはビクともしないだろう。こっちが惨めになるだけだ。
ここまで考えて初めて僕は、『性暴力』という方法に思い付いた。
僕にも勿論、年相応の性欲はあった。同級生の女子の、膨らみ始めた胸やパンチラが気になってしょうがない。だがこれまで、あの美少女の希星に対し、性欲を感じたことはなかった。そういう相手としてイメージするには、性格がキツ過ぎる。でも、レイプなら?
『大嫌い』と言った僕みたいなヘタレに身体を拘束され、恥ずかしい所を好きなように弄られたら、希星のプライドはズタズタだろう。その上もし希星が、レイプもののAVみたいに、わずかでも『感じる』反応を見せたら?あいまいやごまかしが大嫌いな希星は、その事実を認めるだろうか?
復讐の方法が決まったので、次はどうやって拘束するかだ。
僕は散歩がてら、希星の通学路を歩き、引きずり込めそうな廃屋とかがないか、探索した。すると、通学路の通りから少し奥に入った所に、平屋の日本家屋が目に付いた。庭が荒れていて、ポストにガムテープが貼ってあったので、多分空き家だろう。玄関は古い引き戸で、鍵が掛かっていた。
『こういう家は、以外と…』
僕は父親の両親が亡くなり、空き家になっている実家のことを思い起こした。
建物の横に周り、木の雨戸を横に引くと、簡単に動いた。その奥はガラスのサッシが2枚。左側を引っ張ると…開いた!
外に比べ中は、それぼと荒れてなかった。じいさんのひとり暮らしだったらしい。カレンダーを見ると、子供が迎えに来る日に赤丸がしてあった。3カ月も前の日付だった。その日にじいさんが引き取られて、以来この家は空き家。誰も戻ってくることはなさそうだ。
『やった!ここは俺の隠れ家だ!』
冷静に考えれば、じいさん本人は戻ってこなくても、近所の知り合いが家の様子を見に来ることくらいはありそうだ。でも単純な僕は、そこまで思い至らず、隠れ家を手に入れたことを喜んだ。
家の中を細かく探検すると、結構色々な物が置きっぱなしになっていた。食器、文房具、タオル類。押し入れには立派な客用布団まであった。じいさんは、いつかこの家に戻ってくるつもりだったのだろうか?
その布団を見て『この部屋で、この布団の上で、希星をレイプする』と決めた。
それなら、どうやって彼女をこの家に招き入れるか?『俺の隠れ家、見せてやるよ』などと子供っぽい事を言っても、ついてくるような女ではない。
俺はじいさんの残した便箋に、希星をこの家に連れ込むためのストーリーを、暇に飽かせて何通りも書いてみて、その中で一番うまく行きそうなものを、実行に移すことにした。
その日僕は、希星の通学路の通りから、じいさんの家で見つけた双眼鏡で希星が来るのを見張った。
そして見つけると、物陰に隠れ、タイミングを見計らって俯いたまま、ゆっくり希星の方に歩いて行った。前を見て歩かないのは、待ち伏せだと思われないため。大人ならスマホに目を落とす所だが、持ってないのでメモ帳を見ながら歩いているふりをした。
希星が僕に気付く。
「…優太君?」
「…ああ。」
「何してるの?」希星が引きつった笑顔で尋ねる。
「うん。やることがなくてひまだから…」
「そう…優太君、私、あの時…」
希星が謝罪しようとしていると悟った僕は、言葉を遮った
「いや実は、ちょっと困ってて… 」
「なに?」
「この先に、親戚のおじいさんが住んでるんだけど、親に様子を見てこいって言われて…」
「行ったの?」
「それが、玄関開けたらさ、うめき声みたいなのが聞こえた気がして…俺、ビビりだからさ…」
これを聞いて急に、希星の目が険しくなった。
親戚の老人が苦しんでいるかも知れないのに、僕はそれを放置して家を出てきてしまっている。希星がもっとも嫌う、無責任な対応だ。
「救急車、よばなきゃ!」
「でも、もし間違いだったら?すげぇ怒られるよな?」
「じゃあ、確かめなきゃ!」
「…こわい…」
「…分かった!私が一緒に行ってあげるから。家はどっち?」
僕は心の中でガッツポーズをした。
※元投稿はこちら >>