(香奈…)
私は無性に娘の顔を見たくなり、人垣をかき分けパレードの列を追い掛けました。
ゴール地点に着く頃には最後のチームがゴールするところでした。
ダンサーと観客が入り交じり混み合う中から、娘の姿を探しましたが中々見つかりません…
パレードが終わり…家族や友人と楽しげに会話する、綺羅びやかな衣装を纏った女性達
その中にカメラを手にした沢山の男性の姿もあり、その呼び掛けに皆 笑顔で応えていました。
そして、しばらく探すと人垣の間から娘とその友達の姿を見つけ…。
近付いてみると、カメラを手にした男達に取り囲まれるようにして、娘達が楽しげに会話をしていました。
「はーい、こっち向いて…」
時折、カメラを持つ男の呼び掛けに照れくさそうに笑顔で応える娘…
しかし、よく見ると…二人の後ろに居る男達がローアングルから娘を狙っているではありませんか…
(それはないだろ!?)
それを見た私は‥慌てて娘の元な駆け寄り、これ以上の被害を阻止することが出来ましたが…
(ああっ…撮られてしまったか…コイツらも…そうなのか…こんなに居たら…守れない…)
その時…公衆の面前で堂々と盗撮をする卑劣な男達に怒りを感じる以前に、恐怖を感じると共に自分の無力さを想い知らされてしまいました。
「おとうさん!」
娘の元気な声に我に帰り
「終わりだろ?!ママの所に行こうか…」
沈んだ気持ちを悟られないよう、声をかけると
「なんか…景品もらえるみたい…だから待ってるの…○○ちゃんも○○ちゃんも来るし‥先に行ってて…」
(四人で行動するなら…)
「そうか…じゃ、なるべく早くみんなで来いよ…場所分かるな…」
本心は今すぐにでも家へ連れて帰りたかったのですが…年に一度の祭です
娘の楽しみを奪うのも可哀想になり、望むようにさせてやりました。
当初の予定通り、場所を妻達が陣取っていた歩道の直ぐ側にある居酒屋へ移し、子供の親達と飲みながら待ちました。
が…30分…1時間経っても娘
達は帰って来ません。
「まあ、まだ一時間だし…そろそろ帰ってくるでしょう」
と親達で話していると…
「香奈ちゃんと逸れた…」
娘の友達三人がやって来ました。
それを聞き私は急いで娘を探しに店を出ると…
パレードが終わり交通規制が解除された所為で、歩道は出店のある神社に行き交う人でよりいっそう溢れかえっていました。
(こんな短い距離…いくら逸れたって、もう着いてなきゃおかしいだろ…)
溢れかえる人の流れに逆らい、パレードのゴール地点に向かって歩こうとするが思うように進めない…
(香奈…どこに居るんだ…頼む、無事であってくれ…)
私の願いも空しく‥ゴール地点に着くまでに娘を見つけられませんでした。
(この歩道しか通らないはず…もしかしたら、途中で他の友達に会っておしゃべりしてるのかも…そうだよな?!こんなに人が多い所で…連れ去るなんて出来るわけがない…)
冷静に考えればなんて事ない…と思い直した私は(おしゃべりしてるとすしたら…この人混みの中じゃ無理か…慎重な香奈の事だ…あんな格好だし、歩道から見える所にいるはずだ…)
と考え…脇道を捜すことにしました。
しかし、一本目の路地二本目…いくら捜しても娘の姿がありません
そして、とうとう居酒屋に戻るまで見つからず…
一旦、店に戻り皆に心配かけないよう「途中で友達に会っておしゃべりしてるのかな…」と伝えると…
その場に居た娘の友達が「○○ちゃん達見たよ…香奈ちゃんと喋りたがってたよ…」と教えてくれました。
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