「翔太、田中くんが来てくれたわよ。早く降りてきなさい」
鈴木の母親が、吹き抜けになった階段に向かって少し声を張り上げ、もう一度息子を呼んだ。その声の響きに合わせて、彼女の豊かな胸元がチュニックの生地を大きく揺らす。
「おー! 今行く!」
二階からドタドタと小気味よい足音が響き、すぐに階段から鈴木翔太が姿を現した。学校で見せるのと同じ、屈託のない明るい笑顔だ。毛足の長い上質なカーペットを踏みしめながら、翔太は玄関まで駆け寄ってきた。
「田中、わざわざありがとな! マジで助かるよ。さ、上がれよ」
「うん、お邪魔します……」
健太はいつものように、少し背中を丸めて遠慮がちな声を出し、翔太の後に続いた。
案内されたリビングは、外観から想像した通り、天井が高く開放感のある空間だった。磨き上げられたフローリングの上には、見るからに高価そうな無垢材のダイニングテーブルと、それに合わせたシックな椅子が並んでいる。
「そこに座って待っててね。今、お茶を淹れるから」
母親はそう言い残すと、オープンキッチンの方へと歩いていった。
彼女が後ろを向いてキッチンへと進み出た瞬間、健太の目はその背中に引き寄せられた。ゆったりとしたチュニックの薄い生地越しに、彼女の重みのある胸を後ろから支えている、ブラジャーの大きなバンド(太いアンダーベルト)の輪郭がくっきりと浮かび上がっていたのだ。大柄で柔らかな彼女の背中の肉に、その太いバンドが容赦なくぎゅっと食い込んでおり、ベルトの上下に肉がわずかな段差を作っている。その臨場感のある生々しい後ろ姿に、健太は仮面の下で静かに目を細めた。
しばらくすると、母親がトレイを持って戻ってきた。上品な磁器のカップに注がれたアールグレイの紅茶からは、華やかなベルガモットの香りが立ち上っている。その傍らには、銀の皿に美しく盛り付けられた、いかにも高級そうな洋菓子が添えられていた。
「どうぞ、遠慮しないで召し上がってね」
母親はそう言うと、翔太の隣の椅子を引いて腰掛けた。どうやら、そのまま同席するつもりのようだ。
「いただきます……。すごくいい香りですね」
健太は行儀よくカップを手に取り、一口すする。そして、おっとりと微笑む母親に丁寧にお辞儀をした。その一連の動作の最中、健太の冷徹な双眸は、借りてきた猫のような大人しさを装いながら、至近距離にある彼女の肉体を冷酷に観察していた。
椅子に腰掛けたことで、彼女のゆったりとしたチュニックが胸元で大きく突っ張っていた。鈴木の母親の胸は、ずっしりとした重みでわずかに下垂しているような、成熟した大人の女性特有の豊満な形状を予感させた。
「翔太、本当に学校で田中くんに迷惑かけてない? この子、家では全然勉強しなくて困っちゃうのよ」
「おいおい、母さん、田中の前でそれ言うなよ! 俺だってやる時はやるって」
翔太が照れくさそうに頭を掻くと、母親は「あら、本当に裏切らないでよ?」と上品に笑いながら、愛おしそうに息子の髪を何度も優しく撫でた。その眼差しには、我が子をすべて包み込もうとする過剰なまでの甘やかしと、強い母性本能が滲み出ている。
そんな二人の様子を適当に聞き流しながら、健太はときどき、彼女の身体に幾度も視線を送り、その大人の肉感が持つ匂いと圧倒的な質量を脳内にサンプリングしていった。
一通りの世間話が終わり、紅茶を飲み干した頃、翔太が立ち上がった。
「じゃあ、そろそろ上の部屋に行こうぜ。母さん、ごちそうさま」
「ええ、しっかり勉強するのよ。田中くん、よろしくお願いしますね」
「はい、お邪魔しました」
母親に見送られながら、健太は翔太の後ろについて階段を上った。二階にある翔太の自室は、最新のゲーム機やスポーツブランドのポスターが飾られた、いかにも今時の高校生らしい部屋だった。
「いやー、母さんがいると調子狂うわ。あ、適当に座ってくれよ」
ベッドの端に腰掛けた翔太と、用意された丸椅子に座った健太は、最初の数分間、最近のクラスの話題や流行りのゲームについて簡単な世間話をした。健太は相変わらず聞き役に徹し、翔太の警戒心を完全に解いていく。
「よし、じゃあ……そろそろやるか。この前の小テストの範囲、マジで意味不明んだよな」
翔太がバツの悪そうな顔でカバンから教科書とノートを取り出した。健太はあらかじめ用意してきた基本的な数式の問題をいくつかノートに書き写し、「まずはこれを解いてみて」と翔太の前に差し出した。
「うわ、最初からきつそうだな……」
翔太はシャーペンを握り締め、眉間に皺を寄せてノートに立ち向かい始めた。
健太は、翔太が数式を組み立てていく手元を黙って見つめていた。だが、開始からわずか数分で、健太の内心には冷ややかな呆れが広がっていった。学校では要領がよく、誰からも好かれる人気者の鈴木翔太だったが、机の上の学力に関しては驚くほど「バカ」だった。公式の使い方が根本から間違っているだけでなく、単純な計算ミスすら自分で気づいていない。必死に頭を抱え、ノートにガリガリとシャーペンを走らせる翔太の姿を見下しながら、健太の胸の奥で、歪んだ優越感が静かに鎌首をもたげる。学校の主役が、自分の前で無様に脳を絞り出している。その構図だけで、健太にとっては十分な娯楽だった。
「……なあ、田中。ここ、マイナスじゃなくてプラスになるのか?」
「あ、いや、そこは符号が反転するから、マイナスで合ってるよ。その前の行の計算を見てごらん」
「あ、そっか! やべえ、全然気づかなかった」
翔太は再びガリガリとノートに向き直り、完全に自分の世界に入り込んで問題を解き始めた。
二階で二人が勉強を始めているであろうその頃。
一階のリビングでは、母親がテーブルに残された二つのカップを片付けようと立ち上がっていた。
翔太のカップをトレイに乗せ、続いて健太が使っていたカップを取り上げたとき、彼女はふっと奇妙な違和感を覚えた。上品なアールグレイの香りが残るはずの空間に、何とも言えない、かすかに腐ったような悪臭が立ち上ったのだ。
「あら……?」
気のせいかと思い、母親は何気なくそのカップの取っ手――先ほどまで健太の指が触れていたであろう場所へと、自身の鼻先を近づけてみた。
その瞬間、彼女の理性を揺るがすような、奇妙な衝撃が走った。
鼻腔に届いたのは確かに不快で不味な臭気のはずなのに、なぜか脳の奥を直接痺れさせるような、抗いがたい引力を持っていた。異様で忌々しいはずなのに、どこか意識が「もっと確かめたい」と囚われてしまうような、女性としての根源的な領域を揺さぶる生々しい何か。胸の奥が妙にざわつき、にわかに心臓の鼓動が速くなって激しく鐘を打ち鳴らす。これまで経験したことのない、理性をじわじわと侵食していくような不思議な昂ぶりだった。
しかし、それは本当に一瞬の出来事だった。
母親はトレイを持ったまま小さく頭を振ると、すぐにその奇妙な感覚を頭から追い出した。
「嫌だわ、急に動悸かしら。少し疲れが出たのかもね」
我が子への無償の愛に満ちた穏やかな日常の中で、彼女はそれ以上気にとめることもなく、いつも通りの微笑みを浮かべてカップを流し台へと運んでいった。
それからさらに十分ほどが経過した頃。二階の自室では、翔太が完全に集中し、周囲への注意力を失っているのを見計らい、健太がふっと席を立った。
「あ、鈴木。ちょっとトイレ借りていい?」
「ん? ああ、廊下出てすぐそこにあるよ。勝手に使って」
「うん、ありがとう」
健太は物静かに部屋のドアを開け、廊下に出た。
確かに翔太の部屋のすぐ近くにトイレのドアがあったが、健太は最初からそこに入る気などなかった。
廊下の奥へと進む健太の胸の中では、心臓がいつもより速くドクドクと鐘を打っていた。大人しい生徒を演じながら、いつ誰に見つかるかわからないスリル。その緊張感と背徳的な興奮が入り混じり、全身の血が熱くなっていくのを自覚する。足音を完全に消しながら、二階の廊下の奥へと進む。
この邸宅の二階には、翔太の部屋以外にもいくつか扉が並んでいた。健太は一つひとつのドアノブに手をかけ、音を立てずにわずかに開けて中を覗き込んでいった。一つは物置のようになった客間、もう一つは閉ざされたクローゼット。
廊下の突き当たりにある最も大きな木製のドア。それを慎重に押し開けると、遮光カーテンの隙間から薄暗い光が差し込む、広々とした主寝室が姿を現した。
(……ここが、あいつの両親の部屋か)
健太はあえてドアを閉めず、数センチだけ隙間を開けたままにして、いつでも逃げ出せるように廊下の気配に細心の注意を払いつつ中へと滑り込んだ。
部屋の中央に鎮座する大きなダブルベッドが、健太の歪んだ想像力を刺激する。先ほどリビングで見せつけられた、あの鈴木の母親のずっしりと肉厚な身体。あの豊かな胸が、夜な夜なこのベッドの上でどのように横たわり、どのような声を漏らしているのか。学校での上品な母親の仮面を剥ぎ取った姿を思い浮かべ、健太の脳内には卑猥で冷酷な妄想が瞬時に広がっていった。
健太はベッドサイドに歩み寄り、母親側のものと思われる枕を無造作に掴み上げた。よく見ると、カバーの皺の間に、彼女のものらしき長い茶髪が一本身をよじらせるように残っている。彼はその枕に顔を強く押し付け、思い切り息を吸い込んだ。大人の女性特有の頭皮の匂いと、微かなシャンプーの残香が混ざり合った生々しい臭気が鼻腔を満たす。健太はフッと満足げに息を吐くと、その枕を元の位置に整えることもせず、ベッドの上へぽいと無造作に放り出した。
さらに彼は図々しくも、寝室の壁際に据え付けられた高級そうなチェストや棚へと近づいた。躊躇することなく、滑らかな手つきで引き出しをいくつか開けていく。
男物の衣類が並ぶ引き出しをスキップし、さらに奥の棚を開けたとき、綺麗に畳まれて整然と並ぶ女性用の下着の山が目に飛び込んできた。
健太は開け放たれたドアの隙間に視線を走らせながら、そのうちの一枚を指先でつまみ上げた。それはしっとりとした艶やかな光沢を放つ、薄紫色のシルク調の生地だった。持ち上げてみると後ろ側の布地が極端に細くなっており、それは大人の色香を放つTバックの形状をしていた。
「……へえ、あのおばさん、こんなの履いてるのかよ」
健太はニヤニヤと独り言をこぼし、それを顔に近づけ、思わず鼻腔に強く押し当てた。そこから漂う生々しい肉の存在を嗅ぎ取ろうとするかのように、深く息を吸い込む。
それだけでは衝動が収まらず、健太は理性のタガが外れたように、その布地の中心――最も彼女の肌に密着していたであろうクロッチの部分を口に含み、思いっきりガリリと噛み締めた。強烈な背徳感と征服感が彼の脳内を支配する。
同時に、あの重みのある胸を包んでいるはずの大きなブラジャーも探そうと棚の奥に目を凝らしたが、この限られた滞在時間内ではとうとう見つけることができなかった。
「……焦る必要はないか」
健太は低く呟くと、口の形に歪んで湿ったTバックを、畳み直すこともせず引き出しの中へクシャクシャのまま無造作に放り込み、ガリリと少し雑にチェストを閉めた。
健太は音もなく寝室のドアから這い出ると、一階へと階段を降りていった。
リビングからはテレビの音が聞こえてきた。母親はまだリビングにいる。健太は「トイレを探す迷子」の体裁を保ちながら、リビングとは反対側の、薄暗い奥の廊下へと足を進めた。風呂場の脱衣所だ。
健太は音もなくその脱衣所へと滑り込んだ。電気がつけっぱなしになっており、白を基調とした空間が明るく照らされている。その中央にはドラム式の洗濯機があり、上部の蓋が少しだけ開いていた。
中を覗き込むと、そこには誰のものか分からない衣服がいくつか放り込まれていた。健太は獰猛な獣のように、ためらうことなく洗濯機の中に両手を深く伸ばす。
まず、一番上にあった汗の染みたTシャツや部屋着の短パンを掴み、顔に近づけた。その瞬間、先ほど玄関先ですれ違った時に鼻腔をくすぐった、あの母親特有の大人の女の匂いがふわっと鼻孔に注がれた。
(……間違いない、これあのおばさんの服だ)
確信を得た健太は、さらに興奮を高めて腕を奥へと突っ込み、他の衣類の隙間にぬるりと手を滑らせた。年頃の息子がいる手前、さすがに自分の下着をそのまま上に晒すのは憚られたのだろう。他の洗濯物の奥底、外からは決して見えない暗がりに、それはひっそりと、隠されるようにして押し込まれていた。健太にとって、それらはまさに暗闇から掘り起こされるのを待つ「隠されたお宝」そのものだった。
――あった。
衣類の迷宮の最奥から、這い出させるようにして引きずり出されたのは、大柄な母親の尻を包んでいた、水色の薄手なレースのパンティだった。健太は血走った目を剥き、迷言を残すこともなく布地の中心――股肉が直接触れていたクロッチ部分に目を凝らす。彼女が着用していたその場所には、わずかながら生々しい使用済みの痕跡を思わせる染みが、くっきりと残されていた。
健太の口から熱い粘っこい唾液が溢れ出る。彼は躊躇なくその中央部分を自身の口へと運び、ガリリと飢えた犬のように噛み締め、ねっとりと舌を這わせて舐め上げた。大柄な雌特有の、動いた際にかいた汗の濃厚な蒸れと、どこか生々しい粘膜の匂いが、じっとりと舌を濡らす。健太はそれを自身の肺の最奥まで満たすように、ズウウッと深く深く吸い込んだ。
「はぁ、はぁ、すげえ……おばさんの味、たまんねえ……」
興奮に肩を揺らし、荒い呼吸を撒き散らしながら、健太は再び乱暴に洗濯機の奥底へと手を突っ込んで貪欲に探る。隠された宝箱のさらに奥、次に彼の指先が捉えたのは、先ほどのパンティとは比較にならないほどの圧倒的な質量と存在感を放つ、信じられないほど大きなブラジャーだった。
紐が伸びて壊れそうな勢いで引きずり出したそれは、とても同級生の母親のものとは思えないほど異様に巨大な肉塊を支えるための肉厚なカップを有していた。健太はそれを両手で高々と広げ、まるで極上の戦利品を誇示するように掲げた後、顔全体をその巨大なカップの窪みへと強く、窒息せんばかりに押し当てた。鼻腔を満たすのは、あの豊かな胸元から発せられていた、強烈な生活臭と雌の熱気だ。
ハァハァと狂ったように匂いを貪りながら、健太は無造作にブラジャーをひっくり返し、ホックの近くにある白くくたびれたタグを指先でめくり上げた。
「すげえ、あのおばさんHカップもあるんだ。」思わずつぶやくと悪魔的な笑みを浮かばせる。
心臓が早鐘を打ち、全身が震える。慣れることなど到底できない、強烈な背徳的な興奮。健太は使用済みパンティと使用済みブラジャーを、誰に見つかることも恐れ、震える手でそれを自身の服の中、お腹の辺りに必死に押し込み、シャツの上から隠した。
ジーンズの奥で、埋もれていたはずの太い質量が、大きく成長していることを健太ははっきりと感じていた。
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