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投稿者: 鉄剣一
【前回の登場人物・キャラクター情報】
田中健太(たなか けんた)・・・本作の主人公。高校生。学校では「大人しくて地味な少年」を演じているが、冷徹で鋭い観察眼を持つ。まだ自覚のない大きな一物を持つ。


鈴木翔太(すずき しょうた)・・・健太のクラスメイト。クラスの人気者で、裕福な新興住宅街にある立派な一戸建てに住んでいる。この日、健太が数学を教えに自宅へ向かう相手。
高橋家の父親・・・一見すると大人しそうで真面目そうな父親。しかし、一昨日の夜にさっそく長女と揉めているのを健太に見られる。


高橋家の母親・・・物腰が柔らかく、優しそうな雰囲気を持つ母親。小柄で色白、衣服の上からでもはっきりと分かる非常に豊かな肉体の持ち主。


高橋家の長女(15歳くらい)・・・思春期真っ只中の少女。一昨日の夜、父親に対して暴力をふるっていた。


高橋家の長男(9歳くらい)・・・人懐っこく元気な印象の少年。一昨日の引っ越しの挨拶の際にも、無邪気で愛嬌のある様子を見せていた。


二日後の午後三時。梅雨時の重苦しい雲が空を覆い、じっとりとした生温かい空気が肌にまとわりつく。健太は一度マンションの自室に戻って制服から私服のTシャツに着替え、履き古したジーンズに脚を通した。

鈴木の家に向かう前に、ふと思い立ってトイレに立ち寄る。下腹部の肉に埋もれがちなせいで、本人は自分のものをありふれたサイズだと思い込んでいるが、実際には高校生としては不自然なほどずっしりと太いものがそこには隠されていた。
おしっこをしている間、皮をむきあげてみると、強烈な生のイカが腐ったようなものすごい臭いが狭いトイレの中にブワッと立ち込めた。
「……ふっ、くっさ」
思わず口元がニヤリと歪み、低く引きつったような笑いが漏れる。用を足し終えると、健太は慣れた手つきでもう一度ずるりと皮を被せ、元の包茎の状態へと戻した。それを無造作にジーンズの中に収めると、手を洗うこともなくそのままトイレを出た。これから鈴木の家に向かうため、カバンを肩にかけ直して玄関のドアを開けた。

内廊下を歩き、エレベーターホールのボタンを押した。
低く唸るような作動音が響き、緑色のインジケーターの数字が上がってくるのを待っていると、背後からパタパタと騒がしい足音が近づいてきた。

「あ、お隣のお兄ちゃんだ!」

振り返ると、そこには隣の302号室に引っ越してきたばかりの長男――九歳くらいの少年が、小ぶりなサッカーボールを小脇に抱えて立っていた。屈託のない丸っこい目が、健太の姿を見上げてキラキラと輝いている。

「こんにちは。これからサッカー?」

健太は一瞬で顔の筋肉を緩め、近所の子供に慕われる「優しいお兄さん」の笑顔を完璧に作った。

「うん! 近くの公園で友達と約束してるんだ。お兄ちゃんはお出かけ?」

「そうだよ、学校の友達の家にね。……あ、そうだ。一昨日はわざわざご丁寧にご挨拶にきてもらっちゃって、ありがとう。バタバタしてたから、ちゃんとお礼言えなくてさ」

「ううん、パパとママが『お隣さんにはちゃんと挨拶しなきゃダメだよ』って言ってたから! ボク、高橋陽翔っていうんだ」

「陽翔くんか。いい名前だね。僕は田中健太。よろしくね」

健太は屈んで陽翔と目線を合わせながら、親しみやすいお兄さんを演じ続ける。エレベーターが到着し、静かにドアが開いた。二人は並んで中に乗り込む。健太は「1」のボタンを押し、陽翔の様子を伺いながら、世間話を装って自然な口調で問いかけた。

「陽翔くんのところは、お姉ちゃんも陽翔くんも元気いっぱいで楽しそうな家族だよね。お母さんもすごく優しそうだし」

「えー、ママはボクには結構うるさいよ。お片付けしないとすぐ怒るんだ。でもね、お姉ちゃんには全然怒らないの。お姉ちゃんが怒ると、ママは何も言えなくなっちゃうんだよ」

陽翔はボールをポンポンと手の中で弾ませながら、唇を尖らせた。健太は「あはは、お姉ちゃんは強いんだね」と言いながら、考える風を装って何気なく口元に手をやった。人差し指と中指の先を鼻腔に近づけると、さきほどトイレでこすりつけた生のイカのような、ツンとくる強烈な臭いがまだはっきりと残っている。それをそっと吸い込みながら、健太はさらに言葉を繋いだ。

「あ、そういえば、お母さんっておいくつなの? うちの親と同じくらいかなって思って。うちの母親はもう結構いい歳なんだけどさ」

「えっとね、ママはこないだ三十七歳になったって言ってた! 名前はね、美咲って言うんだよ」

「美咲さん、か。綺麗な名前だね。まだ三十七歳なら、うちの親より全然若いお姉さんだな。お母さん、お仕事とかもされてるの? 毎日忙しそうだけど」

「ううん、ママはお仕事してないよ。ずっとお家にいるの。パパが会社に行くから、ママはお家でお洗濯とかご飯作るんだ」

「へえ、そうんだ。じゃあいつもお家にいてくれるなら、陽翔くんたちも寂しくなくていいね」

健太の口元が、陽翔に見えない角度でわずかにぴくりと動いた。高度な自制心で表情を保ちながら、昼間はいつもあの部屋に一人でいるその情報を頭に刻み、さらに核心へと会話を誘導していく。

「でもさ、一昨日の夜、ちょっとお父さんとお姉ちゃんが揉めてるみたいだったけど、大丈夫だった? 急に引っ越してきて、みんな疲れちゃってたのかな」

「あー、あれね。お姉ちゃん、いっつもパパにイライラして文句言ってるんだ。パパ、お姉ちゃんのことすっごく怖がってるんだよ。だからお姉ちゃんには何も言い返せないの。だけどね……」

陽翔は少し声を潜め、困ったような顔をして健太を見上げた。

「パパね、お酒を飲むと、ママにだけ急に大声を出すんだ。この前もね、ママがちょっと薄着でお外に出たら、夜にそのことでパパがママのことをすっごく怒鳴ってたの。ママ、パパに怒鳴られると、すっごく怖がって小さくなっちゃうんだ」

「そっか……お父さん、お母さんには怒鳴るんだね」

「うん。ママはお姉ちゃんにもパパにも何も言えないから、ボクにしか怒らないんだ。パパがママを怖がらせて、ママがボクを怒るから、なんだか嫌だなあ」

「それは大変だね。陽翔くんもよく我慢してるね」

チーンという電子音とともに一階のドアが開くと、陽翔は「じゃあお兄ちゃん、ボク行くね!」と元気よく声を上げて、エントランスの向こうへと走っていった。

「うん、車に気をつけてね」

陽翔の背中を見送りながら、健太はゆっくりと直立した。陽翔が去ったエントランスを見つめる健太の瞳から、先ほどまでの温和な光は完全に消え失せていた。
健太はフッと口元を歪めると、肩のカバンを小さく揺らしながら、ゆっくりとマンションの外へ歩き出した。

スマートフォンに表示されたマップのナビゲーションに従いながら、健太はジメジメとした住宅街を歩き進めた。駅から少し離れたそのエリアは、健太が住む古びたマンションの周辺とは一変して、新築の小綺麗に整った一戸建てが立ち並ぶ、見るからに裕福そうな新興住宅街だった。

目的の場所に近づくと、ひときわ大きく立派なコンクリート塀に囲まれた邸宅が目を引いた。表札には「鈴木」と端正な文字で刻まれている。鈴木が学校で話していた通り、いかもしっかりとした、金持ちの家だった。

健太は玄関アプローチの手前で立ち止まると、ジーンズのポケットにスマートフォンを突っ込んだ。それから、陽翔との会話中に口元へやった指先をもう一度、今度は誰にも見られないようにさりげなく鼻先に近づけてみる。まだ微かに残っている自身の男臭さを確認し、ふっと満足げに口元を緩めた。

一瞬でいつもの「大人しくて地味な田中くん」の表情を作り直すと、健太は門扉をくぐり、玄関脇のインターホンに手を伸ばした。

ピンポーン、と上質な電子音のあと、すぐにスピーカーから声が返ってきた。

「はーい、どちら様ですか?」

インターホンのスピーカーから聞こえてきたのは、鈴木のハキハキとした声ではなく、どこかおっとりとした、しかし妙に艶のある大人の女性の声だった。

「あ、田中健太です。鈴木くんに数学を教えにきました」

「あら、翔太のお友達ね。今開けるわね」

ガチャリと重厚な玄関ドアのロックが解除され、ゆっくりと扉が開いた。

そこに立っていたのは、鈴木翔太の母親だった。

「いらっしゃい、健太くん。翔太から話は聞いてるわよ。わざわざ教えに来てくれてありがとうね」

上品に微笑む彼女の姿を視界に収めた瞬間、健太の奥底にある歪んだアンテナがピクリと反応した。

開いたドアの向こうからは、しっかりと冷房の効いた涼しい空気とともに、高級な柔軟剤の華やかな香りと、大人の女性特有のどこか甘く肉の存在を意識させるにおいがふわりと漂ってきた。健太の鋭い視線は、瞬時に彼女の肉体を観察し、分析していく。

小柄で色白な隣の美咲とは、驚くほど対照的なタイプの身体だった。
年齢は四十代前半といったところだろうか、と健太は目で測る。鈴木の母親は、すこし大柄で存在感のある体格をしていた。肌の色は美咲のような抜けるような白さではなく、不健康さのない、落ち着いた大人の質感を湛えている。

そして何より目を引いたのは、ぼってりとした肉厚な唇だった。その唇のすぐ近くには、どこか艶めかしい印象を与える小さなほくろが一つ、ぽつりと張り付いている。そのほくろと肉厚な唇が、彼女の顔立ちに隠しきれない淫靡な艶っぽさを与えていた。

仕立ての良いゆったりとしたチュニックに、黒いレギンスパンツという上品な部屋着姿だが、服の上からでもその肉感は十分に伝わってきた。お尻の膨み自体は比較的普通なのだが、その分、胸のボリュームが美咲のそれよりも明らかに大きく、ずっしりと前へせり出している。チュニックの生地を内側から強く押し上げるような圧倒的な胸の質量は、彼女が「どうぞ、入って」と手招きをして身をよじるたびに、重々しく揺れた。

「さあ、上がってちょうだい。翔太、今2階から降りてくるから」

「あ、お邪魔します……」

健太はいつものように、気弱で大人しい少年を演じながら、ペコペコと頭を下げて靴を脱いだ。しかし、前かがみになったその顔の裏側では、獲物を前にした肉食獣のような、酷く歪んだ邪悪な笑みが浮かんでいた。

クラスの人気者である鈴木の、誰も知らない上品で肉厚な母親。
隣部屋の美咲に続き、また一人、男としての野性的な好奇心をかき立てる女性を目の当たりにし、健太のジーンズの奥では、自覚のない太い質量が、静かに熱を帯び始めていた。

※元投稿はこちら >>
26/06/19 22:49 (FVXz27nH)
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