男性入院患者への性介助というものが世の中で、都市伝説的に囁かれている事実を看護師なら、誰もが耳にしたことがあると思います。
看護学校ではそんなことを習う事実はありませんし、患者さんを介助するうえで射精を手助けするなんてあり得ないことです…………正式には。
勃起は男性の生理現象で入院生活で身体の自由がままならなければ、普通にあり得ることなのです。清拭介助は身体を清潔に保つのに必要なことで、陰部も当たり前に拭かせていただきます。
そこで勃起を目にすることにいちいち驚いてはいられないし、入浴介助であれば若い患者さんなら大抵は勃起するペニスを見ることになるのです。
身体を清潔にすることが前提ですから当然そこも洗いますし、だからといって射精を促すためにお手伝いをするなんて、いくらなんでもあり得ないことです………表向きは。
ナースも女ですし人間ですから、表面上はお澄まし顔で平静を装っています。どうして男ってこうなのかしら、男ってこんなのばかり……こんなふうにうんざりすることは当たり前。だから慣れなければいけないし、そう教えられもします。
繰り返しますがナースだって女で人間です、その時の気分で立派な大きさだわ、やだもう……なんて内心で肯定的な感想を抱くことだってあります。表向きは無表情だったり、何ならやや不快感を匂わすキツイ表情を薄っすら浮かべることをします。これは男性患者にいらぬ気持ちを抱かせたり誤解をさせないための防御で、こちらの気持ちを見透かされないようにするためにでもあるのです。
そこで都市伝説ですが、あくまでも都市伝説に過ぎません……表向きは。ちらほら囁かれる話は半分以上は嘘で、残りの何%かは分かりませんが事実が含まれていると思います。
バレなければ既成事実としてありますし、上司や先輩、同僚に知られたとしてもそこで話が止まれば話は止まりますからね。ナースも人間で温情だってありますし、固く口止めをして誰にも知られなければ、ササッと射精させてあげる人がいたとしてもなんの不思議はないのです。
さらに貞操観念の緩い人ならば、エスカレートもするでしょう。実際には勤務中は忙しくリスクもあってそんな暇もなく、危険を犯せないのが定説です。でも病院によっては可能なこともありますし、ベテランにもなれば抜け穴も知っています。
リスクの回避の方法も知っているし自分に言い訳をして正当化しながら、どこまでなら可能かを秤にかけて行為に及ぶことくらい容易なのです。
それが手で済ますのか口淫にまで及ぶのか、はたまたその気になれば先は不可能でもなく、現実的ではありませんが協力者がいたらなおさらです。
まぁ……いたずら心で文字通り、悪戯で善意を装いながら「気にしなくていいから、早く出しちゃいなさい」なんてしてあげる人も、いたりいなかったり……。現実は教科書通りにいかないケースもあって、場数を踏んでいない新人はどうしていいのかわからないまま、手で射精を手伝ってしまった事実もあるにはありますが。
経験豊富な歩美もまた例外ではありません。
第二章に続きます。
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