『おじゃまします』
と深々と頭を下げている染谷さんを
「何か飲みます?、何が良いですか?」
「コーヒーで良いですか?」
俺は そう言いながらリビングに案内した。
「どうぞ」と
コーヒーをテーブルに置き、対面に座った。
「今朝の電話、全然分かんないんですけど」
「何が どうなったんですか?」
「覚悟が出来たから来てくれた、で良いんですかね?」
『えぇ…』
『はい』
『主人の夕飯も作って来ましたし…』
『で、これなんですけど…』
そう言って 染谷さんは ◎◎銀行の封筒を鞄から取り出して 俺の前に差し出した。
「何ですか?」
『たぶん100万入ってると思います』
「100万て…」
「お金なんて要らないって言いましたよね?」
『でも、私も持ってられませんし こんな大金 、主人に怪しまれますし』
「だからって…」
「・・・・・」
「何が有ったんです?彼と」
「頭に来たとか 手切れ金の前払いとか」
「どうしちゃったんですか?」
『昨日の帰りに電話したって言ったでしょ?』
『工藤さんには お金なんて要らないって言われたって言ったの、そんな事したら1回じゃすまねぇぞ、やれ20万だ30だって…俺のATMになってくれのか?って 少し盛って』
『そしたら彼 何て言ったと思う』
『金も要らない 何にも要らない、それで黙ってるヤツなんて居ない って』
『絶対 魂胆が有るハズだ、何て言われたんだって しつこく何度も』
『皆んなが皆んな そんな人ばかりとは限らないでしょ?、って言ったら』
『だったら抱かれてくれば良かっただろって、ヤらせてやれば そいつも黙ってるしかないだろ、浮気は俺が初めてじゃねぇって言ってたろ? ヤらせて やりゃあ良かったのにって』
『だから私、前の男たちは 皆んなお金くれたわ、だからアンタからも貰うわ、前払いで払いなさい って言ってやったの!』
『払わなきゃ 私がキミちゃんに 全部話すって、この電話も録音してある って』
『で、それが これ!』
と、テーブルに置いた封筒を 人差し指でトントンと してみせた。
「そうですか?」
「・・・・・・・」
「ま、俺も 君代さんの名前をだして こうして染谷さんに来てもらってる訳ですから 同罪ですけどね」
『え?、どう言う事ですか?』
「うん……」
「今の話し、そっくりそのまま 2人の作戦なのかなぁ?って、手切れ金の前払いなんて話し聞いた事もないし」
「金 握らせて、抱かれて来い、って」
「そうすりゃ ヤツも話せなくなるだろう って、録音も想定内で…、違います?」
『…そんな』
『信じて貰えないんですか?』
「信じてますよ」
「だから こうして家まで来て貰った訳だし」
「でも、この際 どっちでもいいです」
「はじめから、俺の狙いは 染谷さんの身体と 君代さんの身体 だったんですから」
『身体、って』
「見せて貰いましょうかね、覚悟ってヤツを」
「全部 脱いで下さい、着てるモノ全部」
「寒かったらエアコン入れますから、全部脱いで下さい」
『・・・・・・・』
『はい』
染谷さんは 俺を睨みながら 立ち上がった。
※元投稿はこちら >>