会社への出勤途中、海斗は宏美から声をかけられた。
「海斗君、おはよう」
「おう、おはよ」
「最近、調子よさそうだね?」
「うん、まあな、、、」
「イズミとはうまくいってる?」
「えっ、、、イズミに聞いたのか?」
「あ~あ、呼び捨てにしちゃって、、、まぁ、そうだけどさ、、、」
「そうか、、、」
まだ内緒にしていたいと言ってたけど、、、宏美はしょうが無いか、、、
イズミの一番の親友だし口も固い。
「でも聞かなくてもモロ分かりだよ、、、イズミ、凄くキレイになったし、、、わたしはオンナになりましたって感じ、、、」
「そうか?」
「そうだよ、、、ねえ、イズミのオッパイ、凄かったでしょう?」
「バカか、お前?」
「フフッ、、、エッチもイキまくりで凄かったんだってね、、、イズミ、顔真っ赤にしてたよ、、、」
「オイ、こんなところで、、、」
「誰も聞いてないって、、、でもよかった、、、二人はお似合いだよ、、、」
「そうだといいんだけどな、、、」
「おおっ、素直だね、、、でもさ、こっちは毎日海斗君との惚気話聞かされて大変なんだからね、、、」
「すまないな、、、お前、大丈夫か?」
いろんな意味で心配だった。
宏美には世話を焼かせっぱなしだ。
イズミのことだってあんなに後押ししてくれなかったら、おそらくここまで関係が進むことは無かった
はずだ。
しかしこれで宏美とカラダを重ねることはもう無い。
男のエゴだがやはり寂しい、、、
「心配してくれてるんだ、、、嬉しいな、、、それに少し妬けるけど、イズミならとずっと思ってたし、、、他の女だったら赦さないけどさ、、、」
「うん、、、宏美、ありがとうな、、、」
「しんみりしないでよ、、、わたし達、ずっと親友でしょう?」
「うん、そうだったな、、、」
「これからも何でも相談して、、、」
「分かった、、、でもお前だぞ、、、」
「もちだよ、、、」
いつものように明るく言って二人はそれぞれの部署へと向った。
半年が過ぎたころは海斗とイズミの交際も社内で知
られるようになっていた。
イズミは甲斐甲斐しく海斗の世話を焼き、お弁当まで作ってくるのだから、これで気付かれない方がどうかしている。
概ね周りの反応は良好だった。
二人の人柄もあり祝福ムードが漂っていた。
ただ陰で泣いている男性社員はかなりいるらしい、女性社員も僅かだか、、、
そろそろケジメをつけないと、、、
海斗はイズミをホテルのレストランに誘い食事をした。
そして予約していた部屋へと案内した。
窓から見える夜景は素晴しかった。
「イズミ、話があるんだ、、、」
目の前に立ち、しっかりと見つめる。
「はい、、、」
何かを察しているのだろう。
いつになくしおらしい言葉だったが、しっかりと見つめ返してくる。
「俺はイズミが好きだ、、、誰にも渡したくない、、、だから結婚して欲しい、、、」
見る見るうちにイズミの瞳に涙がたまる。
嬉し涙なのか、、、それとも、、、
「返事の前に海斗に聞いて貰わなければならない事があるの、、、いいかな?」
「もちろんだよ、、、」
「わたし、、、海斗の過去の出来事を知っていたの、、、
どうして離婚したのか、、、その後の恋人と何があったのかも、、、」
「そうか、、、宏美からだな?」
「うん、、、でもわたしを思って話してくれたんです、、、あとから分かるよりも前もって知って知っていた方がいいって、、、その上で海斗への気持ちをハッキリさせなさいとアドバイスしてくれたんです」
宏美らしい気遣いだと思った。
「わたし、、、酷いと思いました、、、海斗は凄く辛い思いをしたんだって、、、その二人が憎いと思いました、、、わたしだったら絶対そんなことはしない、海斗を癒してあげたい、、、そうしようと心に決めました、、、」
「ありがとう、、、」
優しく髪を撫でる。
たまらなくイズミが愛おしかった。
「宏美さんとのことも聞きました、、、」
「えっ、、、まさか、、、」
撫でていた手が思わず固まる。
「二人は大切な親友同志だって、、、でも、エッチもしてるって、、、」
「そんなことまで、、、」
「本当はいけない事だと分かってるって、、、でも海斗が優し過ぎるから、、、それに海斗のセックスが良すぎて、忘れられなくて求めてしまうと言っていました、、、」
あいつ、、、自分一人を悪者にするつもりだな、、、
「それは違うよ、俺が悪いんだ、、、」
「いいんです、、、分かってますから、、、海斗は相手がいる時は絶対に宏美さんとはしなかったって、、、相手一筋になる人なんだって、、、」
確かにそうだけど、、、
「そしてわたしの背中を押してくれたんです、、、海斗を信じて気持ちをぶつけなさいと、、絶対に受け止めてくれるはずだって、、、わたしの悩みなんて吹き飛ばしてくれるって、、、そして、その通りでした、、、」
イズミが手を握ってくる。
「わたし嬉しくて、凄く幸せで、、、でも宏美さんの本当の気持ちはどうなんだろうって、、、」
宏美はわたしは親友のままがいい、海斗も同じ気持ちでいる。
心配しなくてももう二人がそういうカラダの関係を持つことは無い。
イズミにだったら安心して海斗を任せることが出来る
二人だったら必ず幸せになれる、そう励まされた。
「あいつ、、、」
「でも、、、」
「んっ、なんだ?」
「信じてはいるけど、、、もし海斗を裏切ったら、大変なことになるかもねって、、、ニコニコして言ってたけど、目が全然笑ってなかったんです、、、初めて宏美さんのこと怖いと思いました、、、」
「そんなこと無いさ、、、あいつは優し過ぎるオンナだからな、、、」
「分かってるけど、、、なんだか妬けちゃう、、、宏美さんは凄い人ですけど、わたしは負けませんから、、、わたしは決めました、、、海斗を幸せにします、、、だからお嫁さんにして下さい、、、」
「ありがとう、、、凄く嬉しいよ、、、」
優しく頬を撫でる。
「わたしも幸せ、、、」
「イズミ、、、誰よりもキレイだ、、、」
「嬉しい、、、ああっ、海斗、、、」
海斗の首に両腕を絡めていく。
二人の唇が重なり合った。
つづく
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