蛭間はサイトの件で摘発された。
他にも被害者がいて売春めいたことも強要していたという余罪まで犯していた。
いずれは詩織もそうなっていたかも知れないと思うとゾッとした。
蛭間は当然のように解雇され、家庭も失った。
そして人生も失うことになった。
詩織も会社を止めたらしい。
しかしそれも全て海斗にはもう関係のないことだった。
イズミがこのところ元気が無い。
あんなに朗らかだったイズミの表情に陰りが見えていた。
ある日のこと、イズミが仕事でミスをおかした。
海斗が気づいて大事には至らなかったが普段のイズミからは想像も出来ない初歩的なミスだった。
その日の帰り、元気なく一人トボトボと歩いているイズミを見かけた。
主任にかなり厳しくやられていたからな、、、
海斗は後から声をかけていた。
「イズミ君、、、」
イズミはハッとして振り返った。
「課長、、、今日は本当にすいませんでした、、、」
頭を下げてくる。
「よせよ、気にするな、、、明日からいつも通り頑張ればいいって、、、でもムリをするなよ、、、」
「課長、、、」
イズミの瞳が見る見る潤み出す。
こんなところで泣かれてはまずい、、、
「オイオイ、元気だせよ、、、そうだ、これからメシでもどうだ?」
イズミは涙を拭った。
「はい、、、でもいいんですか?」
「もちろん、、、俺が誘ってるんだ、奢るよ、、、」
「嬉しいです、、、」
ほんのり頬を染めている、、、
気のせいだよな、、、
「じゃあ、行こうか?」
食事をしながら話をしているうちにイズミは元気を取り戻したようだった。
「今度、課長と二人で飲みにいきたいです、、、相談したいこともあるし、、、」
酔わないと話せないようなことなのか?
きっと別れた彼氏のことなのか、、、
やり直したいのだろうか?
いずれにせよ、そのことがアタマにあって元気もなくミスを犯したのかも知れない。
海斗は快く受け入れ、休みの前日に会う約束をした。
海斗は行きつけのバーにイズミを案内した。
ボックス席になっており、ここなら他に話を聞かれることも無い。
「素敵なお店ですね、、、」
イズミは頬を上気させ海斗を見つめてきた。
アルコールが進み話をしているとイズミがスーツの上着を脱ぎブラウス姿になった。
アイドル並みに可愛らしい顔立ちはナチュラルメイクでまだ幼さも残っているが、そのカラダは大人らしい成熟を見せていた。
ブラウスを突き上げる乳房、ボタンをふたつほど外され深い谷間を覗かせている。
タイトなミニスカートからスラリと伸びた脚の太ももはムッチリと張り詰め、お尻の大きさを想像させる。
そしてポッテリとした唇がいい意味でアクセントになりオンナの色気をもたらしている。
モテるはずだよな、、、
女に有りがちなズルいところが無い性格だし、裏表も無い、、、いい子だということは海斗が良く知っている。
男性社員が狙っていて誘いが多いことは宏美に聞かされていた。
イズミは身持ちが堅く、彼氏がいた頃は全く誘いに乗らなかったと宏美は断言していたが、今はどうなのだろう?
そんなイズミが身を乗り出すようにして話を切り出した。
「課長、わたし彼氏と別れたんです、、、」
胸元から更に奥まで谷間が見え、ピンクのブラまでチラリと覗く。
「宏美から少しだけ聞いてるよ、、、相談て、そのことなんだろう?」
「まあ、そうです、、、話を聞いてくれますか?」
唇もそうだが、今はトロンとしている瞳にも色気を感じる。
もうイズミは酔っているようだ。
「俺でよければ話は聞くよ、、、」
「課長だから聞いて欲しいんです、、、」
イズミは海斗を見つめたまま話を続けた。
「彼はすごく優しい人で、、、カッコ良くて、頭も良くて、、、うまくいってたんです、、、でも、、、」
イズミが口ごもる、、、
「何かあったのかい?」
海斗が促すと意を決したようにイズミが言葉を続けた。
「その、、、エッチが、、、うまくいかなくて、、、」
「えっ、、、それって、、、」
相談て、、、セックスのことだったのか、、、
でも、、、これはセクハラにならないのだろうか?
「お願いです、聞いて下さい、、、こんなこと相談出来る男性は課長しかいないんです、、、」
「分かった、聞かせてくれ、、、」
「わたし、、、途中まではいいんです、、、感じるし、、、気持ちもよくて、、、でもセックスではイケないんです、、、」
「んっ、、、それは、どういう、、、」
「イケそうな感じはあるんです、、、もっと続けてくれたら、、、でも彼氏が先にイッちゃって、、、」
「そう、、、なのか、、、」
「そんなことがずっと続いて、、、わたしガマンしてたんですけど、、、なんだかいつの間にかギクシャクするようになって、、、」
「その、、、彼には言わなかったのかい?」
「このままじゃダメになると思って言いました、、、もう少しだけ頑張って欲しいって、、、」
そうだよな、、、早すぎとは言えないよな、、、
「そうしたら余計に気まずくなってしまって、、、」
「そうか、、、」
そんなこともあり得る話だ。
「しばらく逢わないでいたら、、、いきなり他に好きな女ができたからお前とは分かれるって言われて、、、」
「酷いな、それは、、、」
「でも、、、そんなにショックじゃなかったんです、、、もう無理かもと思ってたし、、、それに、、、わたしもずっと気になる人がいて、、、と言うか、その人が凄く好きだったんですけど、、、どうしても諦めなくてはいけない人だったから、、、けれどその事情も変わって、、、だから彼とはハッキリと分かれることにしたんです、、、」
複雑な話だな、、、それになかなか微妙でもある。
つづく
※元投稿はこちら >>