「ふぅん・・・・・やっぱりねぇ・・・」
俺は突然の連絡で呼び出された。
そして待ち合わせ場所の飲み屋で、テーブルの向かいに座る陽子さんの視線に体を小さくしていた。
「・・・ま、何となく分かってたけどね」
俺から視線を外しクスッと笑った陽子さんに、今度は俺が視線を向けた。
そして破滅の始まりを心の底から心配している俺の心情を一目で見抜き、妖しい雰囲気でニコッと微笑んだ。
「大丈夫よ・・・そんなに心配しないで・・・」
陽子さんは、そう言ってまたクスッと笑った。
「・・・別に、知ったからって どうこうしようとか思ってる訳じゃないわ・・・ただ、気になったから確かめたかった・・・それだけよ・・・」
そう言って、「生ビールは置いてない」と言い切った、俺がいつもいく居酒屋よりも数倍高そうな雰囲気の店で、ビールの注がれた小さなグラスを口に運んでいった。
コクッ・・・コクッ・・・コクッ・・・コクッ・・・
正面の席、体を俺に正対して座る陽子さんが、顔を少しだけ斜めに向けて飲み干していくのを見ていた。
それは、まるで熟練の夜の蝶を連想させるような・・・ふくよかな、けれど決して肥満ではない肉肉しい体の、ソバージュのかかった長い髪の、スナックのママのような貫禄の陽子さんに似合った仕草だった。
生唾を飲み込む・・・とは、今の俺をさす言葉かもしれない。
それほどその仕草に魅力を感じながら、小さなグラスを仰いでいく陽子さんを・・・その唇や喉を見つめながら、俺は唾液を飲み込んだ。
「・・・それで・・・」
陽子さんはグラスをテーブルに置きながら、顔を傾けたまま流し目を俺に向けた。
そして、俺の興奮を見抜いたような微笑んだままの顔で言葉を続けた。
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