お店を出て少し歩きながら今日の出来事を振り返って見る。
良く考えたら変なお店だったなあ・・・。
本は沢山あったけど、なんだか普通に売ってるコミックスみたいじゃ無かったし・・・。
会員制のスペースもなんだかなって感じだった。
けど、契約しちゃったし、人生初めてのバイトだよね・・・。
優しそうな人と一緒にお仕事だし、嫌になったらやめちゃえばいいか・・・。
軽く考えていました。
それどころかここ最近のありきたりの生活に潤いができれば良いななんて考え始めてていました。
勝手にお仕事の内容を想像していた。
きっとあんな可愛い本なんだから、今日はたまたまオタクっぽい人達ばかりだったけど、普段はを
女の子達もいて、私はお店の名前が入ったエプロンなんかして本の整理をする。
そんな想像をしていました。
よく考えたら、お店の名前さえ見ていない・・・。
戻ってみようかと思ったけど、どうせ明日は行かなきゃ成らないんだから・・・いいか・・・。
そう思って夕食の買物をして家路に着いた。
夫には内緒にして何かプレゼント買ってあげよう・・・そんな事を思いながら夕飯の支度をしていた。
何事も無く、いつもの様に時間は過ぎて行った。
夫は最近お仕事で疲れているのか、夕飯が済んでお風呂に入って眠ってしまう・・・。
何事も無く夜も深まり、そして朝が来る・・・。
また、いつもの様に一日が始まる・・・、唯一違うのは今日からお仕事に私も行くって事・・・・・。
いつもは夫にお仕事させて・・・自分は・・・なんて考えてたけど今日からは私も少しでも力になれると思えるんだから
なんだか嬉しい・・・。
ウキウキしながら夫を送り出し、身支度をして家を出た。
昨日はずっとエプロンに合う服を考えてコーデネイトを考えていました。
エプロンの色はどんな色かな・・・、やっぱりフリルスカートがいいかな・・・なんて考えて結局、大人しく
紺のフリルスカートに少しぴっちり目の薄いピンクのシルエットにスリーブの広がったブラウスをチョイスした。
お店に着くまでは白いボア付きのダウンコートを着ていました。
お店が見えて来ました、今日からここでお仕事するんだと思うと元気を出さなきゃって気合を入れて、お店の
裏に回ります。
更衣室に入って驚いた、更衣室ってロッカー大きいな・・・それに女の子の数が多くない?
私ともう一人位しか予想していなかったが、全部で七人程の名前があった。
ロッカーの中に私の名前を見つけ出し、扉を開ける。
するとエプロンでは無く服が一式あったのだ、それも際どい物だった。
スカートの丈は短くて上着も胸を強調する様な物だったのだ。
エプロンもあるにはあるが、同じ様にミニサイズだったのだ・・・。
まあ、男性との接客では無いので大丈夫・・・・・かな・・・。
初日なのでやむおえず着替えたのでした。
お店の方へ出る前にチャック用姿見で自分の服を見て驚いた・・・。
なんだか本屋の店員風に見えない・・・、名札にも名字では無く名前が書かれている。
もう、無理・・・ご近所に知られたら困っちゃう・・・。
とりあえず今日は我慢して、辞めさせて貰おう・・・そう考えていました。
そして店に出る・・・。
『あ、おはようございます・・・やっぱりお綺麗ですね、お似合いです。よろしくお願いしますね』
昨日の彼は店長だった、まるでタキシード仮面の様な人・・・・。
私主人が居るのに、ドキドキしてきます。
『はい、おはようございます・・・こちらこそよろしくお願いします』
店長の言葉に久々の主人以外の異性を感じてしまいときめいてしまっていた私はさっき思っていた事なんて
何処かに飛んでしまいます。
二人で入口に並んでお客様の入店を待ちます。
開店時間になってお店がオープンします。
店の前で待っていたお客様は二手に分かれて入店です。
私のエリアは10人くらいのいかにもオタクな男の人達が入店されます。
もう一つの会員制のエリアには少し年配の、やはり男性が何人か入ったみたいです。
私の他の女性店員はどこに居るんだろうと気になる。
そう思いながらも営業は始まった。
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