由美の腹部の筋肉が勝手にびくびくと痙攣していた。夫に自分のからだが逝く姿を見られたくはなかったが、
自分ではそれを止められなかった。
「延滞金代わりだ。文句あるか。」
男は由美の夫を睨みながら言った。男がゆっくり射精の終わった肉棒を引き抜くと、太ももの内側に男の体液が流れ落ちた。
夫は後ずさりしてその場を立ち去ってしまった。
「ちぇっ、逃げやがったぜ。情けねえ旦那だなあ。しばらくお前のからだは俺が預かるぜ。旦那にメールでもして伝えときな。
貸した金と引き換えだとな。お前は旦那が迎えに来るまで、俺の身の回りの世話をするんだ。いいな。」
由美は下着を身に着けながら、
「わかったワ。言うとおりにするから、着替えを取りに帰らせて。」
「それだったら俺の車で一緒に行きな。逃げられたら叶わねえからな。」
由美は男の言う通り、男の車で自宅のアパートまで行き、着替えをボストンバッグに詰めて男のマンションに向かった。
男の部屋は高層マンションの一室だった。部屋に入ると意外なほどきれいに整理されていたが、洋服掛けにはけばけばしい
色のジャンパーや、鎖付きの幅広のベルトなど、闇金の取り立て稼業に相応しい衣類が掛けてあった。
「部屋の中にあるものは何でも使っていいぞ。あと冷蔵庫の中もな。ただし逃げようとしても無駄だ。入口は出る時も
鍵がないと開かない戸にしてあるし、ベランダも隣に行けないように鉄板で閉じてあるからな。隣は耳の聞こえない爺さんが
一人で住んでるから、大声をだしても無駄だ。もひとつあった。インターホンは向こうの音しか聞こえねえ。助けを呼ぼう
なんて変な気起こすなよ。」
男は時々借金のカタに、相手の女性を部屋に連れ込んでいるようだった。
「腹が空いた。冷蔵庫の中のもので何か作ってくれ。」
「わかったワ。」
由美はあきらめた表情で台所に向かった。
男の名前は山田ケンと名乗っていたが、本名かどうかは分からなかった。由美の夫とは違い、山田の性欲は旺盛だった。
毎日のようにセックスするので、山田から渡された外国製のピルで避妊しなければならなかった。やがて、由美は山田とからだの相性が
抜群にいいことが分かって来た。今まで気づかなかった自分に気づかされた気がした。夫とはたまにする短いセックスだけだったから、
自分のからだがこんなにセックス好きだとは知らなかったのだ。山田が感じる場所を探してはそこを攻める悦びを感じ始めた。
強面の山田の顔が由美のテクで感じると、だらしない、優しい顔になるのが楽しかった。だが、山田は由美の感じる場所を正確に見通して、
そこを攻めて来た。いつも由美の方が先に逝かされた。由美が体調のいい時は一晩で5,6回逝かされることも少なくはなかった。
汗だくになって、夜明け近くまで繰り返しするセックスは最高だった。
山田は仕事に行くと1日で数十万から百万ほどの金を持って帰ってきた。それが山田の取り分だった。由美は山田が帰るのが
待ち遠しかった。ある時から山田と一緒にショッピングに行くようになった。その頃には由美は山田から逃げ出そうとは思わなく
なっていた。二人でショッピングモールへ出かけたとき、揃いのジャンパーを買ったが、その背中には虎が描かれていた。
由美はそのジャンバーに似合うのは茶色の髪だと思ったので、髪を染めて茶髪に変えた。
ある日、山田が険しい顔で金の話を誰かとしていた。その後で、由美にドライブに行こうと言い出した。由美は濃い目の化粧をして
虎のジャンバーを着ると、山田と一緒に車ででかけた。車は公園の駐車場に止まった。山田が車から出ると背広姿の男が近づいてきた。
由美の夫だった。夫は厚い封筒を山田に手渡した。山田は封筒の中を覗いて、確かに、とひとこと言った。車に戻った山田は由美に言った。
「由美、降りろ。」
「えっ?」
「支払いが終わったんだ。旦那と家へ帰れ。」
「そんな・・・帰れないよ。」
「悪いが、2,3日したら部屋に別の女が来る。今度は19歳の娘だ。父親の借金のカタに取った。お前がいたら迷惑なんだ。
部屋の荷物は明日でも俺が家に届ける。心配するな。」
由美は黙って車から降りた。変わってしまった妻の姿に夫は驚いた表情をしたが、
「由美、すまなかった。」
と押しつぶしたような低い声で言った。由美は夫と一緒にもとのアパートに戻ったのだった。
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