約半年の間に、私の会社は高橋生花に相当な利益をもたらした。
私はその間、高橋生花店について社内の特別調査チームに店の動向を探らせた。
調査チームの報告によれば、高橋生花店はH市にある市場で花を入荷しているとのことであった。
半年が経過し、そろそろ作戦を実行することにした。
まず私は、H市周辺で花を卸している大手中卸業者3社にコンタクトを取った。
業者に、H市場でのライラックやスイートピー等の春の花の買付を依頼する。
その際に、市場価格に糸目はつけずに買い占めるように依頼し、私の会社で企画しているイベントが終了するまで、しばらく必要以上に市場に流通をさせないようにしてもらいたい、ということと、私からの依頼は伏せておくように伝えた。
もちろん、依頼の際には責任者に対し、私のポケットマネーから相応の報酬を出しておいた。
この依頼は、私の会社からの受注を高橋生花店に取られた業者に依頼したので、二つ返事で私の依頼を受けてきた。
買い占めを依頼した翌日に、私は営業担当に、高橋生花店にイベントで使う春の花の発注を下命した。
今までのイベントと違い、花をメインとしているので大量に用意するよう依頼させる。
例え失敗したとしても構わないイベントだが、要は高橋生花店に責任を押し付ければいい話だ。
値段のつり上がった花の差額と損害賠償を背負わせるのが目的だった。
担当者から、イベントまで残り2週間の段階で突如大量の発注を受けて、高橋生花店は喜びながら発注のお礼の電話をかけてきたそうだ。
高橋生花店は、これが、私の罠だと知ることはないだろう。
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