(処刑 2)
数日後、翔太は森田に話を持ち掛けた。
「森田の親戚にアダルトビデオの制作会社で働いてる人いたよな。」
森田「ああ、いるよ。いとこが助監督してるけど。」
翔太「その人に聞いて欲しんだが、マリコ、AVに出れないかって」
森田「マジかよ。本人が出たい、て言ってるのか?」
翔太「いや、まだ話してない。でも必ず承諾させる。これは罰なんだ。」
森田「何の罰だよ」
翔太「俺の部屋で山本に中出しを許した罰だよ」
森田「スゲエ、山本のバズーカで抜かれたのか、マジ、ヤベエ話だな。」
翔太「本気汁流しまくってよ、俺のベッド汚しやがった・・・・」
森田「いきさつはよくわかんねーけど、一応聞いてみとくわ。で、写真とか、からだのサイズとか
後でメールしといてくれよ。」
その日の夜、翔太は盗撮映像を編集してモザイク処理をした短い動画を作り、森田宛のメールに
添付して送った。すぐに森田から返事が来た。助監督のいとこが面接してみたいと伝えてきたとの
事だった。翔太は次の日学校から帰るとマリコに告げたのだった。
「マリコ、アダルトビデオに出ろよ。森田の親戚に制作会社のスタッフがいてな・・・・」
マリコ「ちょ、ちょっと、何で私がそんなものに出なくちゃいけないの。私はあなたのパパと
結婚してるのよ。」
翔太「山本に中出しさせただろう。証拠映像もある。」
マリコ「アンタまた私のこと盗撮したの。」
翔太「その映像をもとにサンプル映像を作って、制作会社の人に見せたら面談したいと言ってきた。
罰だと思って受けてくれ。」
マリコ「私が嫌だといったら?」
翔太「今までのことを親父にばらす。受けてくれたらギャラは全額渡す。」
マリコ「その口調だと私が断れないてことね・・・いつ面談するの?」
翔太「今度の日曜日、A町のZ企画の事務所で」
マリコ「日曜は健二が朝からゴルフでいない日だったわね。いいわ、私、あなたの罰を受けます。」
日曜日、健二は朝6時から起きて、妻がアダルトビデオに出演しようとしていることなど
知るはずもなく、楽しげにゴルフに出かけていった。
午前10時の約束に間に合うように、翔太とマリコは電車を乗り継いでA町のオフィスへ
と向かった。6階建てのビルの2階にそのオフィスはあった。インターホンを押すと
ドアから30過ぎの太った男が出てきた。
男は佐藤絵呂作と名乗った。本名ではないらしい。
応接室に案内されると森田が先に来ていた。
佐藤「マリコさんですね。話は森田君から聞いてはいるのですが、アダルトビデオの
仕事がしてみたいということで伺っています。今回この仕事は初めてですか?」
マリコ「初めてです。私なんかでもできるでしょうか? 」
佐藤「ビデオクリップ見ましたけど、大丈夫だと思います。ただもう少しチェックが必要です。」
マリコ「チェックというと・・・」
佐藤「服を脱いで裸になっていただけますか。」
マリコ「・・・ここで・・・ですか?・・・」
佐藤が頷くとマリコはゆっくりと服を脱ぎ始めた。下着も脱いで全裸になって立つと、
90度づつ向きを変えて一回転させられた。
佐藤「いいからだですねえ。プロポーションといい肌のきれいさといいこれなら申し分ありませんよ。
いや、シミひとつない肌だなあ。もう服を着て結構です。」
マリコを椅子に座らせると佐藤はギャラの話を始めた。
佐藤「報酬は正直、作品の売れ行き次第です。だいたいですが100万から数万の範囲で変動します。
100万ていうのは売れっ子の単体作品、つまりその人だけが主演女優の場合ですけどね。
今からためしに一本撮ってみませんか。えーと、今空いてる男優は・・・・と」
マリコ「え、こ、これからですか?」
翔太「いいじゃん。やってみろよ。やってみないと分かんないし。一次面接をパスしたってことだろ」
佐藤「あ、男優のハリケーン滝が空いてますよ。ちょっと電話して確認とります。」
マリコ「ハ、ハリケーン・・・て、誰?」
森田「イケメンで女性にも人気がある男優スよ。」
翔太「もとプロボクサーでさ、ボクシングでは無名で終わったけど、AV業界でスターになった
人だよな。」
森田が「この人だよ」とスマホで検索して顔写真をマリコに見せた。優しくまじめなイケメンに見える
顔だった。
マリコ「へー、この人AV男優さんなんだー。芸能界にも普通にいそうだね、こんな感じの人」
佐藤「今連絡がとれて午後1時にここへ来るとのことです。あとメイクさんとカメラマンは
今からスタンバイしてもらいます。」
マリコ「どんなふうに私は演じたらいいんですか?」
佐藤「今から流れを説明します。撮影はここと隣の事務室を使います。ストーリーはこんな感じ。
あなたは会社の秘書役。社長役の滝の部屋に書類を持ってきて、そこで人妻のあなたが
犯されるというストーリー。ありきたりのやつですよ。」
マリコ「台本とかは・・・・」
佐藤「無いです。Z企画も昔はドラマ風の作品を撮ってましたが、当社のはあまり受けないので。」
佐藤の話ではセリフは大部分アドリブだというのだ。
昼になり三人に弁当とお茶が振る舞われた。食事が済むとマリコは別室でメイクと衣装合わせが
始まった。
1時になり男優のハリケーン滝が現れた。引き締まったからだに甘いマスクの滝は、生で見ると
ある種のオーラを放っていた。有名女優のほとんどと共演し、セックスした相手は数千人とも言われ
ていた。そこへプロのスタッフによるメイクを済ませ衣装に着替えたマリコが別室から現れた。
濃紺のスーツにスカート、ストライプのシャツ、網タイツ、かかとの高い黒のハイヒール、
黒メガネ、ネックレス、イヤリング・・・・翔太は別人かと思ったほどだ。
どこから見てもオフィスで働いているビジネス・パーソン姿の女性だった。
滝はマリコに挨拶した。
「滝です。マリコさんでしたね。緊張しますか? 初めての出演ということで、僕も努力しますから
楽しくやりましょう。作品を見た人を楽しませストレス解消の手助けをする。そういうつもり
で努力すれば、僕とあなたできっと良いものができると思いますよ。」
今回の撮影は佐藤が監督をすることになった。翔太と森田はカメラに写り込まない部屋の隅に
しゃがんで撮影の様子を見ることにした。撮影機材の準備が整い独特な雰囲気の中でいよいよ撮影が始まった。
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