早織のおかげなのか仕事も段取りよく終わり、寺沢と約束している時間よりも大幅に早く会社を出ることができた。私は彼女に連絡をしてみた。あれから、彼女の方から連絡はなかった。今日はもう連絡がこないかもなと思い、寺沢との約束の時間まで緑色の人魚が描かれている珈琲店に入った。店内は若い人で賑わっていた。
私はコーヒーを片手にスマホの画面を見ていた。やはり彼女からの連絡はなかった。そのかわり、妻からメールが届いた。
「昨日は飲み会で朝まで飲んでたから、今日は早く帰ります。」
妻の中にも良心の呵責というものがあったのだろう。だが、私は寺沢との約束があったので、その旨を妻に連絡すると「じゃあ早く帰らなくてもいいよね。友達とご飯に行ってくるわ。」と素っ気ない返事が届いた。
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