『けど、もうちょっとだけ休ませてくれる?』、満智子さんの言葉に、僕も少し救われます。半勃ちをしている僕も、数分前に射精を済ませたばかりなのです。
テレビでは若い女優さんのAVが流れ、手にはホテル備え付けの安物のコーヒーが握られます。ゆっくりとした時が流れるなか、僕はこんな質問をするのです。
『おばちゃん、ちょっと聞いていい?』
『ん~?なに~?』
『前に、町内会でおじさんが言ってたんだけど…。』
『なにぃ~?』
『おばさんと2日に一回してるって話。』
『なんのこと~?』
『えっ?エッチ…。』
『はあ~?はあ~?はあ~?』
『ん?おじさん、みんなに言ってたよ?』
『だれがっ…!』
『違うの?』
『するわけないやろ~?』
『みんなに言ってたよ?』
『ほんとにぃ~?』
『ほんとほんと。』
『冗談やったの~?』
『当たり前やんっ!おっちゃんとや、もう何年もしたことなんかないわぁ~!信じられんわぁ~!』
それは1年前にさかのぼる。満智子さん、56歳のときである…。
『ねぇ?お願いやから、病院行ってよぉ~!』、ある日曜日のお昼間に満智子さんの声が飛んだ。隣にいた子供たちも、母と同じような顔をしていた。
しかし、病院嫌いのおじさんは『大丈夫、大丈夫や。年やから、食欲も減っただけや~。』と言い、その言葉に耳を貸すことはしませんでした。
そしてその4ヶ月後、病院にて命の期限が切られたのである。無表情のおじさんの周りで、涙を堪える家族の姿が印象的でした。
息子さんは数年前から、跡を継ぐために父の仕事を手伝っていました。OLをしていた娘さんも、会社を辞め、この店で働き始めます。
それでも、まだまだ半人前の子供たち。やはり、満智子さんが仕切るしかなかったのです。
仕事と夫の看護の両立。気丈に振る舞っていた満智子さんでしたが、精神は疲れを見せ、身体を壊すこともしばしばでした。
そんな頃、ある男性が彼女の前に現れます。ヒロキと言う、近所に住む17歳の高校生の男の子。僕も何度か話をしたこともある、法律事務所の息子です。
進学校に在学していて、きっと父親の跡を継ぐのでしょう。
ヒロキは、最初こそ『奥村のおばちゃん。』と彼女を呼んでいましたが、仲が深まるうちに『お母さん。』と呼び始めました。
二人の子供が大きくなってしまった満智子さんにとって、それはとても心地いい感覚を覚えたのです。あ
『三人目の子供のように…。』、そして、過ちは起きてしまうのです…。
『お母ぁ~さんっ!』、店仕舞いをしていた満智子にそう声を掛けたのはヒロキでした。薄暗闇のなか、突然現れたヒロキに彼女も驚きます。
『ビックリするやないのぉ~!』と言った彼女ですが、『ビックリしたぁ~?』と笑うヒロキの笑顔に、逆に驚いてしまった自分を反省してしまうのです。
『なにしてるん?』
『なにしてるって、片付けしてるんよぉ~。』
『手伝おうか?』
『いいわぁ~。はやく、帰りぃ~よ。』
『いいわ、手伝うわぁ~。』
そう言って手伝い始めたヒロキでしたが、これが初めてのことではありません。何度もこんな時間現れては、満智子さんを手伝っていたのです。
言っても聞かないヒロキを知っているだけに、彼女もそれ以上は言わなかったのです。
そして、『ありがとなぁ~。ご飯食べて行くかぁ~?』とヒロキを誘います。もう、何度も交わされた会話でした。
『おじさんは~?』と聞いたヒロキに、『奥で寝てる…。』と答える満智子さん。これが二人の合図になっていたのです。
満智子さんがヒロキが亡くなったことを知るのは、これから10年以上も先の話となります。学校を含め、関わる全員が隠蔽をしたからです。
ヒロキの机の中から出てきたバインダーには、満智子さんを盗撮したと思える写真が、B5サイズで保管されていました。
パソコンの中からは、満智子さんとの情事をこれまた盗撮していた動画が数本見つかりました。
中には盗撮ではなく、『お母さん、キスしよ?』と撮影された二人のキス動画もあったのです。
それは全て、父親の手により削除され、写真はシュレッダーへと流し込まれました。しかし、この父親にとって、これは2度目の行動でした。
父親が隠蔽をしたその理由。それは歪んだ息子の愛情を、世間に知られる訳には行かなかったからです。
実の母親だけでなく、近所に住む主婦までも『お母さんっ!』と呼んで、肉体関係を持ってしまった息子。
実の母親と別れさされ、満智子さんには『結婚なんてできるはずないやろっ!』と突っぱねられた時、彼の精神は持たなかったです。
突然姿を消したヒロキ。しかし、満智子さんが深追いをすることはありませんでした。彼女にとっては、いい思い出ともなっていたからです。
そして、満智子さんは自分の知らなかった性癖にもめざめるのでした。
『若いチンポはいい…。』と。
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