掃除に追われる土曜日の夜でした。この日は珍しく僕と大林さんの男性二人。そこに60歳近いおばさんの安藤さんが加わり、3人で作業を行います。
かなり手を抜き、とにかく『空室』を増やすことを優先させます。しかし、それでも掃除が追いつかず、初めての深夜残業に突入をするのです。
おかげでなんとか『空室』の数も増え、深夜2時ようやく作業を終えるのです。『お先ですっ!』と言って、控え室を出た僕は事務所へと向かいます。
事務所に着くと、フロントの方から『汗かいてるやろ?シャワーして帰ったらぁ~?』と言われます。
掃除の方の中には、深夜遅くなった時に『お掃除待ち』の部屋でシャワーをして帰る方がいるのを聞いていました。
僕には関係がないと思っていただけに、それを初めて言われて興味が出るのです。どうせ帰っても寝るだけです。シャワーして帰れば、すぐ寝れる。
そう考えた僕は、『いいですか?』と聞いてます。フロントの方は『205号室、空いてるわぁ。』と言って、タオルセットまで出してくれるのです。
人が使った後のお風呂とは言え、やはりホテルだけに得したような気分にもなります。内緒ですが、浴槽にまでお湯を入れ、本気風呂を楽しんでしまいました。
フロントに戻ると、『ありがとうございました。』と挨拶をし、僕は帰ろうとしました。しかし、『大林さんと安藤さん、まだ上?』と聞かれたのです。
『まだ降りて来てないですかぁ~?』と聞き、少し不思議に思います。仕事を終えてから、もう40分近くも経っているからです。
僕は、『ちょっと見てきます。』と言って、4階へと上がりました。しかし、控え室にその姿はなく、今度は3階へと向かうのです。
そこに人の話し声と足音を聞きます。『やべっ、お客だ!』と思い、僕はエレベーター横の倉庫へと逃げ込みました。
足音からカップルのようで、そのままエレベーターに乗り、降りて行きました。
探す場所も限れていて、こんなに二人が見つからない訳がありません。仕方なく事務所まで降りると、『さっき帰ったよ?』とスレ違ったようです。
『ああ、そうですかぁ~。』と言い、僕も安心をして帰ろうとした時、『さっきのエレベーター、大林さんと安藤さんだったのか?』と謎が解けました。
しかし、また謎が増えたのです。『なんで、3階にいたの?用、ないはずなのに、こんなに遅くまで…。』
と、どうしても附に落ちません。
そこで、僕はあることに気がつきます。使われていない11部屋のうち、やたらと綺麗な部屋が2部屋あったことを。
僕は『ちょっと忘れ物しました。』と言って、3階へと向かいます。母と大林さんがセックスをしていた空き部屋です。
しかし、そこには変わった様子はなく、僕はその対面となる空き部屋を覗きました。開くとすぐにお風呂の香りがして来ます。
照明をつけると、風呂場の床はお湯で濡れていて、誰かが使ったような跡があります。そして、ベッドを見ました。
そこには、お掃除で使う大きめのタオルが2枚敷かれていて、何かを隠すようにも見えます。
そのタオルを取ると、明らかにベッドが濡れていて、匂うと男性のあの液の匂いがしてくるのです。
更に、ベッドの横のゴミ箱には大量のティッシュが無造作に入れられています。もう、誰かがここでたった今、射精をしたことは間違いありません。
『大林さん、安藤さんとも…。』
もう、そう考えるのが自然でした。
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